過去ログ - 六花「震災でパパは死んだ。ママは行方不明」
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2012/11/19(月) 20:09:12.99 ID:GG7aGim50
2011.3.11. 岩手県 陸前高田市

あの日、嘘のようなことがあった。
地面がずーーーーーーーーーっと揺れていた。
近所の川には魚がいっぱい跳ねていた。
すぐ、避難訓練でしか聞いたことのないサイレンが鳴り響いた。
ももちゃんはあたしにずっと掴まって泣いていた。ももちゃんの祖父母は浜辺に住んでいる。
しばらくして、海という風呂桶から水があふれ出してきた。
あふれ出した水は、私たちの暮らす街を全て海に持って行った。
ももちゃんの家族も、私のパパとママも、みんな震災孤児になった。
高台にあった中学校には近所の見知ったおじさんおばさんが避難していた。
みんなケータイがつながらなくて泣き叫んでいた。
フェンスに掴まっているおじいちゃんは「ばあさんやー」と普段流さない涙をずっとこぼしていた。
それから夜が始まった。長く寒く、孤独な夜。お姉ちゃんの姿は見えない。パパもママも。
ももちゃん「ねぇ、六花ちゃん」
六花「なぁに、ももちゃん」
ももちゃん「明日になったら、またいつもに戻れ、るよね?」
六花「・・・そう、だよ?」
私たちは暗くなった教室に集団で蹲っていた。パチパチと拍手するかのような音が外から聞こえ始めた。
その火が私たちの町を焼き尽くす聖なる業火だとは、その時は思ってもいなかった。
地面が何度も揺れていた。夜も休まず、ゆりかごのように。


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