過去ログ - P「出来損ないのプロデューサー」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)[sage]
2012/11/27(火) 02:42:32.77 ID:JyxRidqA0
一瞬、立ち止まる。
背中から聞こえてきた言葉は彼にとって馴染みのあるものだった。
「プロデューサー」、かつて彼を表す記号だった言葉。
でも、それは昔のことで今の彼をその名で呼ぶ人間は周りにはいないはずだ。
職場の同僚や上司は、彼のことを名前で呼ぶが「プロデューサー」とは呼ばない。
だから、今のは空耳だ。過去に未練のある自分が聞いた幻聴だ。
それとも、今の言葉は確かに誰かが言ったものなのだけれど自分に向けた言葉ではないのかもしれない。
人ごみを見回してみる。行き交う人の波、これだけ自分以外の人がいるのだからプロデューサーの一人いたっておかしくない。
いずれにしろ、自分には関係のない話だ。そうやって、自分を納得させて彼は再び歩き出す。

「――っ!」

同じ言葉が、さっきよりも鮮明に耳に入ってくる。
さっき聞こえた時と同じ声。忘れるはずのない彼女だけの声だ。
でも、彼女がここにいるはずがない。
今聞こえたのはさっき聞こえたものと同じだ。
またそうやって自分を納得させる。確認することが怖いから。
自分の後ろに彼女がいる。
その確信が現実だと理解したくなかった。それでも、体は彼の意思とは無関係に動く。
振り返った先には彼女の姿があった。



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