858: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:29:40.25 ID:hWToRdhWo
この2年まともに主人の家の人以外は見ていなかった。
誰なんだろう。と思う前に私は別のことを考えていた。
859: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:31:01.95 ID:hWToRdhWo
私の格好をじろじろと眺めるその女の子。
少し不快になった。
このことが婦人に見つかればバツを受けるのは私なのに。
860: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:32:11.40 ID:hWToRdhWo
こんな奴隷のような生活から?
変わりたくない訳ないじゃない。
861: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:32:51.26 ID:hWToRdhWo
風で頭についたリボンがひらひらと揺れるその少女は。
私に手を差し伸べた。
862: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:35:30.68 ID:hWToRdhWo
私は迷った。
この手を取ってしまったらもう戻れない、あとには退けない。
そういう気がしていた。
863: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:36:21.19 ID:hWToRdhWo
だけど……。
だけど、頼らずにはいられなかった。
864: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:37:05.98 ID:hWToRdhWo
「作戦は夜に決行だよ」
と言い残し、その場を去っていった。
865: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:37:35.32 ID:hWToRdhWo
夜。
私はいつものように仕事を終えて寒さに凍えるように支度をしなかった。
せめて私はもし来てくれるのならば、
と願いを込めるように竹槍をまた作っていた。
866: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:39:48.22 ID:hWToRdhWo
しかし、そんなことは決してなく、ただ小屋の扉がゆっくりと開いた。
月明かりが差し込み、慣れていないのか藁を踏む音が大きくそれで私は目が覚めた。
867: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:44:35.18 ID:hWToRdhWo
びっくりした拍子にいつもは転ばないのに藁で滑って転んでしまった。
その転倒に起きたのか隣の豚が鳴き始めた。
868: ◆tFAXy4FpvI[sage saga]
2013/03/21(木) 16:45:06.07 ID:hWToRdhWo
私の手からひったくるように竹槍を取って、豚の喉元に竹槍を刺した。
自分で作った竹槍の切れ味に驚きつつも、
春香が一瞬にしてやった動作に驚いて声が出なかった。
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