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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/12/01(土) 16:28:47.20 ID:Bkbhd/eDO
 黒い木製の棺桶。
 ダンジョンの奥にありそうな、きらびやかな宝箱。
 重厚な白銀色の装甲で覆われた、西洋式の全身鎧。
 そして絡み合うツタで作られた、人間大の球体。
 それらは執事の抱える荷物の山から投げ捨てられると、地面にぶつかって「ぬおぅ」や「はうわ」などバラエティーに富んだ悲鳴を奏で上げた。

執事「仕事です。起きてください」

 そのままモゾモゾと蠢く一同に執事が言うと、やがてそこに動きが生じる。

吸血鬼「な、なんじゃあ? いったい何事じゃ?」

 黒い棺桶からは、古風な言葉使いの金髪紅眼の吸血鬼。

ミミック「何すんだテメェ! ぶっ飛ばすぞ!」

 宝箱からは、僅かに開いた蓋の下から蒼い双眸と幼い女の子じみたミミックの声。

幽霊「おはよう。でも、少し乱暴ね?」

 全身鎧からは、ゆらりと鎧から抜け出た半透明の、白装束に身を包んだ病的に白い肌を持つ女性のゴースト。

アルラウネ「おっはー」

 ツタの複雑に絡み合った球からは、ツタが一瞬で解けた後に、緑色の瑞々しい髪をツインテールにして揺らすアルラウネ。
 ミミックの姿は暗がりでよく見えないが、全員とも寝ぼけ眼のうえに寝間着姿である。

執事「起きたようですね。まずは全員とも馬車の中で寝間着から着替えて来てください。
 話はそれからです」

吸血鬼「うむ」
ミミック「うぃ〜す」
幽霊「私は霊体だから自由自在に服装を変えられるのだけれど……」
アルラウネ「お着替えお着替え〜」

 吸血鬼は素直に頷き、ミミックは気だるい声を上げながら宝箱をズルズル引き摺り、幽霊は困ったように小首を傾げて、アルラウネは元気よく。
 執事の言葉に四者四様の反応を見せながら、しかし全員とも素直に馬車へと入って行くのだった。


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