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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/12/03(月) 22:44:31.05 ID:nhdz3OIDO
少女「……中庭?」

アルラ「あっ! 姫さま姫さま〜っ! た〜す〜け〜て〜!」

 しかし、スルー。

執事「なるほど、館は中央の中庭を囲むように『ロ』の字の造りとなっているようですな。
 今は枯れた庭木がもの寂しく地面から突き立っているだけのようですが、手入れをすれば館のどこからでも四季折々の景観を楽しむ事が出来るでしょう」

少女「……ふむ」

アルラ「姫さま姫さま〜! わたし! わ〜た〜し!」

少女「……ん?」

アルラ「わたしがこの中庭を管理します〜! だから助けて〜!」

宝箱「お前、ここが気に入っただけだろ?」

アルラ「はうっ!?」

幽霊「自分にお得な話だというのに、あたかも嫌々やらされてる感を出して歓心を得ようだなんて……」

アルラ「は、はうぅ……」

吸血「もうちっと懲らしめる必要がありそうじゃな?」

アルラ「きゃ〜! 悪い笑顔〜!?」

 暗い笑みを浮かべながら握りこぶしに力を入れてくる吸血鬼に、アルラウネは涙目で叫び声を上げた。
 だが、そこに思わぬ救いの手が差し伸べられる。

少女「……わかった」

アルラ「へ?」

 降って湧いた少女の言葉に、アルラウネが驚きながら反射的に聞き返す。

少女「……アルラウネを、中庭の管理人にする。
 ……それで、無罪放免」

吸血「は?」

 その言葉に、今度はアルラウネをぐりぐり拘束していた吸血鬼が目を丸くする。
 そして自身の逆転大勝利を遅ればせながら理解したアルラウネが歓喜の声を上げ始めた。

アルラ「やったー!」

宝箱「おいおい……ちと甘くねーかお嬢様?」

幽霊「教育的にあまりよろしく無いですわよ?」

吸血「そうじゃ! 甘やかすと、こやつはすぐに味をしめる! 厳しくいかねば!」

アルラ「シャーラップ! この中庭はもう私の物なの!
 さっさと出てけ〜! しっしっ」

吸血「う、うぐぐ……姫様!」

少女「……大丈夫。もちろん、タダで許す訳じゃない」

アルラ「っ!?」

宝箱「お?」

 大勝利から一転、びくりとあわてて少女を振り返るアルラウネ。
 そして、どこか楽しげな視線を宝箱の中から送ってくるミミック。
 狼狽、好奇、様々な感情を視線に乗せて少女の返答を一同が待つ。
 やがてそれらの視線に後押しされるように、少女が短く答えを発した。


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