過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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2012/12/05(水) 17:40:49.09 ID:RLjbm7yt0
元気良く返事をして妹は家の隅にある水釜へ汲んできた水を流し込んだ。男もまた置いていた水桶を手に取り水釜の横へと置いた。
男「そういえば父さんの姿が見えないけれどもしかしてまだ畑にいるの?」
母「そうよ。でも、そろそろ帰ってくると思うわ。お父さんが帰ってきたらご飯にしましょう」
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2012/12/05(水) 17:42:24.04 ID:RLjbm7yt0
妹「ねえねえおにいちゃん」
男「ん? どうかした?」
妹「私さ……エルフ見ちゃったかも!」
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2012/12/05(水) 17:42:50.79 ID:RLjbm7yt0
男「そうだとしても、もし本当にエルフがいるんだとしたら危ないよ。今人とエルフは戦争をしているんだ。もしかしたらこの村だって襲われるかもしれない」
妹「大丈夫だって。チラッと見えただけだから向こうは私たちに気づいていないだろうし。
それに、エルフって誇り高い一族らしいから、いきなり村を襲ったりなんてしないんじゃないかな。あと、私が見たのが本当にエルフなのかもわからないし」
以下略
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2012/12/05(水) 17:43:21.65 ID:RLjbm7yt0
必死に頼み込む妹を見て男は困り果ててしまった。どうしたものかと考えながら、チラリと妹の様子を盗み見るが、瞳を潤ませている妹のお願いはどうにも断りづらかった。
男(でもな〜、もし何かあったら怒られるだけじゃ済まなさそうだしな……。どうしよう……)
考えに考えた結果、男の脳裏にある案が浮かんだ。
以下略
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2012/12/05(水) 17:44:06.05 ID:RLjbm7yt0
そうして二人だけの話し合いが終わると同時に、部屋の外から母が呼ぶ声が聞こえた。
母「二人とも〜。お父さん帰ってきたわよ、ご飯にしましょう」
男「わかった、今行く!」
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2012/12/05(水) 17:44:38.46 ID:RLjbm7yt0
居間に着くといつの間にか帰っていた父親が先に席に座って二人が来るのを待っていた。
父「お、ようやく来たな」
男「お帰り、父さん。仕事の方は一段落したみたいだね」
以下略
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2012/12/05(水) 17:45:04.92 ID:RLjbm7yt0
父「むう、たまにはいいじゃないか。なあ、母さん」
母「そうね、お父さんがそんな軽口を叩けないくらい懸命に働いて倒れたならいいかもしれないわね」
父「あれ? それだと僕のんびりできなくない?」
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2012/12/05(水) 17:45:46.06 ID:RLjbm7yt0
妹「お兄ちゃん、お兄ちゃん」コソコソ
男「なんだ?」
妹「何度見ても不思議なんだけど、お母さんのあれって怒ってるわけじゃないんだよね?」
以下略
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2012/12/05(水) 17:46:26.29 ID:RLjbm7yt0
――森――
夜が訪れた。男たちの村から少し離れた場所にある森。その中を流れる小川に一つの人影があった。人影はバシャバシャと大きな音を立てながら何度も何度も水を掬い、強く顔に押し付けていた。
その顔には頬を抉る横一文字の深い切り傷が残っている。まだ傷は新しく、傷口が塞がってもなお熱を帯びていた。
以下略
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2012/12/05(水) 17:47:22.95 ID:RLjbm7yt0
種族が違うというだけで迫害され、話し合いをする場も与えられず、誇りを汚され理不尽な暴力を浴びせられて命を狙われた。
一緒に逃げ出した家族や友人は途中で捕まり、ある者は目の前で殺され、ある者は絶望から命を絶った。
そして、最後に残ったのは己と数名の同胞たち。人の少ないこの森へと逃げ込み、ひっそりと隠れていた。
彼らの種族の象徴ともいえる長い耳をローブをかぶることで隠していた。人とは違うもう一つの種族、エルフ。
以下略
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