過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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2012/12/05(水) 17:57:29.26 ID:RLjbm7yt0
しばらくは顔を背けて男の方を見ようとしなかった妹だったが、やがて少しずつ視線を移し、再び男の瞳と妹の瞳が交わり、
妹「一人でどこかに行けって言わない?」
男「言わない、言わない」
以下略
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2012/12/05(水) 17:58:39.65 ID:RLjbm7yt0
妹のコロコロ変わる気持ちについて不思議に思いながら、機嫌が良くなったからどうでもいいかと男は思い、笑顔を浮かべていると、その横を数名のローブを被った者達が通り過ぎた。
不意に身体のそこから沸き上がる怖気。息をするのも忘れて、男は彼らを見つめた。ローブの隙間からは見る者を萎縮させる血走った目が見える。そして、その目が己を見つめている男の瞳を捕らえると、ほんの僅かに彼らの口元が釣り上がった気がした。
妹「お兄ちゃん、どうかした?」
以下略
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2012/12/05(水) 18:00:25.09 ID:RLjbm7yt0
歩いて、歩いてようやく森へと辿り着いた二人。一般的に見てあまり広くないこの森も、小さな子供二人からしてみれば広大な魔窟。その魔窟にいるかもしれない、噂だけの存在のエルフ。それ探しに森の中へと二人は今まさに踏み入ろうとしていた。
妹「よ、よしっ! エルフを探すよ! 準備はいい? お兄ちゃん!」
家を出るまでの態度はどこへ行ったと言わんばかりに元気よく声を張り上げる妹。道中でつないだ手はそのままに、妹に引きずられるようにして男は森の中へと入って行った。
以下略
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2012/12/05(水) 18:00:56.60 ID:RLjbm7yt0
男「どうもしないさ。ただ、エルフを探すのは少しだけにして早めに家に帰ろうか。ちょっと約束があったの思い出した」
咄嗟に口から出た嘘だったが、エルフの探索に付き合ってもらっている手前強く言う事ができない妹は、
妹「わかった……もうちょっとしたら帰ろっ」
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2012/12/05(水) 18:01:35.13 ID:RLjbm7yt0
男「ねえ、もしエルフが森にいて会う事ができたらどうするつもりだったの?」
帰り道、話す事も特になくなり、無言のまましばらく歩いていた二人。隣でぼんやりと空を見上げながら歩く妹に男はそんな質問を投げかける。
妹「えっとね。もしエルフに会う事ができたら私は噂について聞いてみたかったの」
以下略
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2012/12/05(水) 18:02:42.44 ID:RLjbm7yt0
男「妹は……すごいな〜。僕はそんな風に考えたことなかったよ」
妹「えへへ〜。そ、そうかな?」
男「うん。もしかしたら妹は将来すごい事をする大人になるかもしれないね」
以下略
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2012/12/05(水) 18:03:09.93 ID:RLjbm7yt0
男「えっ……」
村が視界の彼方にぼんやりと見えるようになった時、男と妹は異変に気がついた。村の方角の空に黒煙がいくつも昇っていたのだ。風に乗って二人の方へと運ばれる黒煙。
すす臭いそれに混じって二人の鼻に届くツンとした刺激臭。吐き気をもよおすその中には、血と肉が焦げる匂いがした。
以下略
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2012/12/05(水) 18:04:54.12 ID:RLjbm7yt0
声にならない言葉が零れる。それもそのはず、目の前に現れた受け入れがたい現実をどう言葉にしていいのか男には分からなかったのだ。
黒煙を上げていたのは村の家屋。そして、血と肉の焦げる匂いを漂わせていたのは男達の友人や……家族だった。
妹「…………」
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2012/12/05(水) 18:06:46.81 ID:RLjbm7yt0
ローブを被っていたのはエルフだった。特徴的な長く、鋭い耳。人とは違い、神秘的な雰囲気を醸し出す存在。話にしか聞いた事がなく、男達が探していた存在が目の前にいた。
男「エルフ……?」
予想外の出来事の連続に男の思考が停止する。何故ここにエルフがいるのか。どうして村のみんなが死んでいるのか。そして今から自分たちはどうなるのか……。その答えを知るのが恐ろしくて男は考える事を止めたのだった。
以下略
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2012/12/05(水) 18:07:21.74 ID:RLjbm7yt0
傷エルフ「俺たちはお前達人への復讐を果たすために動き出した。憎き人を殺すためならば我らはもはや何もためらいはせぬ。だが、皆殺しにしてしまっては意味がない。この憎しみを他の人間共にも知らしめる必要がある。
そのために、一人だけこの村の住人を生かす事に俺たちは決めた。
そして今、この村で生き残った住人はお前達二人だけだ。さあ、選べ。己か、もう一人か。どちらを生かすのかを」
理不尽な、しかし避けようのない選択を突きつけられて男は泣き出しそうになった。自分か、妹か。生き残れるのは一人。確実にどちらかは死ぬ事になる。
以下略
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