過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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[saga]
2012/12/31(月) 21:10:08.74 ID:EQvKQYAS0
……
…
北方での戦いが終結した夜、人々はもはや戦勝の雰囲気でいた。残るは東の戦いのみ。だが、それすらも残り数日で終わりを迎えるだろうと誰もが予測していた。もはや、誰もが完全に気を緩め、飲めや踊れやの騒ぎの中にいた。
そんな中、闇夜に紛れ一人この場から去ろうとするものがいた。
男「……」
広場にて木々を燃やし、集まる人々。その中に混ざっているであろう仲間たちのことを想い、一度その場に立ち止まった。
会ってしまえばきっと決意が鈍ってしまう。だから、別れは告げないつもりでいた。だから未練を断ち切り、再び暗闇に視線を向けたとき、背後から声をかけられた瞬間、男の心臓は飛び出しそうなほど跳ね上がった。
騎士「……行くのか?」
振り返りはしなかった。前を向いたまま男は答えた。
男「うん。このままここにいたら僕はきっとみんなを傷つける気がする」
騎士「前にも言ったけどよ、そんなことは気にするな。お前なら大丈夫だよ。これまでだってそうだっただろうが」
男「ダメなんだよ。多分僕は今正気を保っていられるギリギリの所に立ってる。これ以上戦いに関わっていたらもう後戻りができないと思うんだ」
騎士「……そうか。でも、きっと軍の方は逃しちゃくれないぜ。なんせ、あれだけの功績を立てたんだ」
そう話す騎士の声は震えていた。
男「……だろう、ね。未来のことは確かにわからない。でも、今僕はこれ以上戦いたくはないんだ。だから……お別れだ」
男の声も震えていた。
騎士「バカがっ。ならあいつらにも別れの言葉くらい言ってけよ。後始末をするのは俺なんだぜ」
男「ごめん。でも、騎士になら任せられるから」
騎士「……ったく、面倒事を押し付けやがって。あ〜もう知らね。行くならとっとと行っちまえ。けどな、俺たちは諦めないぞ。
女魔法使いはきっと泣き喚いて文句ばっかり言うだろうけど、お前のことを追いかけるだろうし、女騎士だってきっとキレて殴りかかってお前を連れ戻すだろうな。
俺だってそうだ。今は無理でもいつかきっとお前とまた同じ道を歩むつもりだ。だから待ってる。お前が帰ってくるのをずっと待ってる」
男「……」
その言葉に男は無言のまま去っていった。暗闇に紛れて消えた彼の後ろ姿を最後まで騎士は見つめ続けた。
騎士「待ってる……からな」
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