18: ◆K7HPJB6g7s[sage]
2012/12/06(木) 22:56:00.08 ID:0bpAgyZro
11巡目、京太郎は焦っていた。2巡目に和から出た東を早々に鳴けたのは良かったのだが、それから
思うように手が進まない。雀頭はすでにできているので、両面か辺張のどちらかの塔子が埋まれば聴牌
なのに、それが出ない。
――くそっ、優希からどっちかもらえると思ってたんだけど、甘かったかな。ツモれもしねぇし……。
優希の切った萬子を苦々しげに見つめ、京太郎は密かに顔をしかめた。
早く和了れる算段であったのに、気が付けばもういつ他家がリーチしてもおかしくない巡目。京太郎
の鳴き以外に場に動きはないが、焦燥感と恐怖が胸を締め付ける。
――頼むっ!
祈るように引いた12巡目の牌。
それは京太郎が待ちわびた『聴牌への最後のピース』であった。しかも嬉しいことに辺張の方が埋ま
り、両面での聴牌。
京太郎は顔に出ないようにしながらも、喜びを隠せない。いつも最下位になって弄られている自分が、
1位を目前にしているのである。意図せず、麻雀部の面々の驚く顔が頭に浮かんでくる。
やにわに浮いた牌に手を伸ばす。
――よし、よしよしよし! もっと早く聴牌できると思ってたけど、でもまだ間に合うはず! 中張
牌だけどまだ全然出てないし、和了る目はある!
ふっふっふ。悔しがる優希の顔が目に浮かぶようだぜ。いっつもタコス買いに行かされてるし、今日
くらいは俺がパシってやってもいい――
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