3: ◆K7HPJB6g7s[sage]
2012/12/06(木) 12:51:30.92 ID:LmCtBHv4o
「だいたい、このメンツで打ってるときに京太郎は1位になったことないんだから、最初から勝つなん
て未来はありえないじょ!」
たった今京太郎に満貫を当てた対面の親が、麻雀卓に身を乗り出すように追い打ちをかける。
ロリツインテールな麻雀部の元気印――片岡優希が落ち込む京太郎を愉快そうに眺めて八重歯を見せ
た。
大会中は優希の好きなタコスを調達したり、遠征ではしゃぐ優希のお守をしたりと、高校生にしては
落ち着きのない彼女の面倒を根気よく見てやってきた京太郎だが、麻雀卓の上でそんな情に流される程
彼女は甘くはない。むしろ、京太郎にちょっかいをかけてその反応を見るのが好きな彼女は、今のこの
状況を前に、乗りに乗っていた。
雀力には大きく開きがあるとは言え、京太郎にも意地がある。優希のあんまりな言い方に、しょげ返
っていた京太郎もグググっと首をもたげる。
「お、俺だってなぁ! 家でネト麻やったり本読んだり努力してんだぞっ! ちゃんと、役と点数計算
も覚えたし」
と、ついつい立ち上がり声を大きくして反論するが、
「そんなのイッパシの高校生雀士なら知ってて当たり前だじょ」
「というか、今さら過ぎます……。流石にそれでは勝てる訳ありません」
「うぅ、そりゃそうだろうけどさ……」
呆れ顔の両者共に一蹴され、ヘナヘナと椅子にへたり込んだ。
実際に彼が牌効率などを全く考えずに打っているというわけではないが、それは京太郎が浅い麻雀経
験の中で感覚的に考えた拙い理論。基礎からして違う自分以外の麻雀部員に「ちゃんと考えて打ってい
る」というのは気が引けた。
一人槍玉に挙げられる京太郎の様子を見かねてか、下家に座るショートボブの少女が「まぁまぁ二人
とも」と助け船を出す。
少し苦笑気味に人の良さそうな笑顔を浮かべる少女の名は、宮永咲。京太郎の中学時代からの同級生
で、少々おっちょこちょいな面のある読書が好きな女の子である。
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