165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/26(日) 02:15:11.09 ID:z7DI9taT0
コンサートホールに凄まじい歓声が響き渡る。
最前、ステージの上でパフォーマンスを披露していた三人の少女たちは、歓声を全身で受け止めている。
そんな少女たちを舞台裏で見ている華やかなステージ衣装の少女とスーツの男がいた。
「うはあ、凄いな……まっ、自分ほどじゃないけどさ」
「今日に限ってトップアイドルのパフォーマンスは前座だ。主役は……」
「自分でしょ?」
「ああ。再デビューということもあるから、大々的な宣伝の意味合いも兼ねてソロで歌ってもらう」
「自分の独り舞台か。腕がなるよ。だから、いつもの……よろしく」
少女は自分の髪を結んでいるリボンを解き、男に渡した。
少女の後ろで、男は少女の艶やかな黒髪をリボンで結んでいく。
ステージの歓声が何処か遠くに聞こえる。
少女のリボンを男が結ぶ。
それが二人の間の儀式だ。
「終わったぞ」
男がそう告げると、少女はリボンが結ばれている辺りにある男の手に自分の手を重ねる。
男は少女の手を拒むことなく受け入れた。
「みなさーん! 今日から私たちに新しい仲間が加わりまーす!」
ステージの方から、三人の少女たちのリーダーの声が聞こえる。
それはリーダーからの少女へ向けての「来て!」という合図だ。
出番だな。男は少女にそれだけ言った。
うん……。少女も男にそれだけ返した。
少女と男の重なった手が離れていく。
ありがとう。想い、受け取ったよ。
少女は、光が溢れるステージへ向かって走り出した。
Fin
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