45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/11(月) 13:36:02.27 ID:g0TM8/L60
スピーカーから音楽が流れ出し、魔王エンジェルのパフォーマンスが始まる。
始まりは、穏やかな曲調だ。
魔王エンジェルの動きも曲に合わせて、ゆっくりと大きく動く。
表情も歌も優しくて温かみのあるものだ。
聞いている俺も気分がよくなる。
天使の歌声っていうのは、こういうものを指すんじゃないだろうか?
楽曲が中盤に差し掛かる。
瞬間、曲が跳ねた。
スピーカーから流れる音楽は先ほどまでの穏やかな曲調から一転、激しいものへと変わった。
変化があったのは、曲調だけじゃない。
ステージ上の魔王エンジェルは、何かに取り憑かれたように踊り、歌う。
大音量のサウンドに負けない聴く者の魂までも震わす力強い歌声。
野性的とも思える荒々しいダンス。
嗜虐的な、狂気を感じさせる笑み。
そのパフォーマンスは暴力的だ。
良くも悪くも、力を振るう快楽に呑まれている。
なんて恐ろしくて、美しい……。
俺は、そんな魔王エンジェルのパフォーマンスから目を離すことが出来ない。
「魔王だ……天使が魔王になった」
自分が何を言っているかわからなかったが、その言葉は俺の中から自然と漏れ出てきた。
曲も終盤、最後の盛り上がりどころに入る。
真・最強プロデューサーが、空中で三角を描いた。
その合図を視界に捉えた魔王エンジェルはトドメと言わんばかりに、パフォーマンスのクオリティを更に上げた。
嘘だろ……まだ、いけるのか!?
このアピールには、それまでどんなアイドルのパフォーマンスを見ても座っていた審査員たちも、思わず身を乗り出した。
そして、スピーカーから流れる音楽が止むのと同時に魔王エンジェルのパフォーマンスもピタリと終わる。
会場には、時間が止まったかのような、痛いほどの静けさだけが残った。
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