過去ログ - P「君と過ごす1週間」
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47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/11(月) 15:06:39.84 ID:g0TM8/L60
体が冷たい。
首に手を当てていると、じわりと湿り気を帯びている。
汗をかいている……興奮しているってことかな?
ううん……これは冷や汗だ。だから、こんなに冷たいんだ。
魔王エンジェルとそのプロデューサーが、自分と765プロの方にやってくる。
魔王エンジェルが自分に向かって笑う。
かかってこい……そんな声が聞こえた気がした。
その目には勝者の余裕みたいな、相手を見下す冷たさがあった。
さっきのパフォーマンスが頭に浮かぶ。
こんな凄いユニットに自分は勝てるのかな。
ダ、ダメだぞ……自分。相手に飲まれたら本当に負けちゃうぞ。
自分は完璧なはずなんだ。負けるはずがないんだ。
魔王エンジェルに精一杯の抵抗とばかりに睨み返す。
でも、魔王エンジェルは自分の睨みに怯むこともなく、冷たい笑だけを浮かべている。
向こうから見たら、今の自分はひどく惨めに見えているのかもしれない。
胸の鼓動がうるさいくらいに鳴る。
緊張しているんだ……自分。こんなこと今までなかったのに。
怖い……

「次……六番、我那覇響」

審査員から自分を呼ぶ声が聞こえてくる。
えっ、もう? そんな……まだ。
でも、オーディションは自分のことなんて待ってくれない。
焦りと不安、逃げ出したい気持ちが自分の体中に広がっていくのがわかる。
誰か、誰か……助けて!
自分が押しつぶされそうな時、

「よし、行くぞ……響!」

誰かの大きな言葉が聞こえてきた。
声の方を向いてみると、765プロだった。
765プロの顔は、笑っていた。
どうして、こんな時に笑っていられるんだ?
魔王エンジェルがこわくないのか?
でも、自分はすぐにわかったんだ。

ああ……そうなんだ。
765プロ、諦めてないんだ。
本気で勝ちにいこうとしてる、あれだけのパフォーマンスをした魔王エンジェルに対して。

静かに瞳を閉じる。
そうだ……自分はここに勝ちにきたんだ。負けるつもりでオーディションなんか受けにこない。
ここまで来たら、後は全力でやるだけだ。
途端、さっきまでの自分の中にあった焦りや不安が嘘のように消えてしまった。
よし……これなら勝てるぞ!
自分の最高で完璧なパフォーマンス見せてやる!

「おい、どうした、響? 早くステージに」
「アハハハ、わかってるよ!」

765プロの背中を追いかけて、ステージに向かって走る。

「にふぇーでーびる、765プロ!」
「に、にふぇ……?」

765プロを追い越す瞬間、自分は沖縄で「ありがとう」っていう意味の言葉を送った。



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