過去ログ - 【咲:安価】京太郎「……家が無い」桃子「20っすよ、京ちゃんっ!」【鶴賀】
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406: ◆tXdh2WZ0lM[sage]
2012/12/23(日) 13:06:56.61 ID:O2PMULp30
〜おまけ:八尺豊音〜


豊音「ぽ、ぽ、ぽ……っと」

豊音「……んー、やっぱり消えないよー」

歩くたびに音が鳴る。

自然に口から出しているみたいなんだけど、自分ではそんな気がしないから余計性質が悪い。

……この口癖のようなものの所為で何度恐れられたか。

何度忌まれたか。

豊音「ん……っと、よし、もう一回!」

誰もいないボロ小屋で端から端まで言ったり来たり。

なんとかしてこの音を消そうと。

歩いて、歩いて、歩いて。

ぽ、ぽ、ぽ。

豊音「……そだ!」

豊音「口ふさぎながらやればいいんじゃないかなー?」

そうと決まれば早速、と口を両手でふさぐ。

そして端から端まで歩く。

……かすかな声は手の平によってさえぎられた。

成功だ。

豊音「……」パァ

豊音「できたよー! ちょーうれしいよー!」

どったんばったん、はねる、飛ぶ。

こんな大きな体で飛ぶんだ、みしみしと木が重圧に耐えられなくなってくるのは不思議なことじゃない。

豊音「ひえっ!?}

そしてその音自身に怯えていた。

村中に……否、国中に恐れられる妖怪の姿とは思えない。

豊音「うぅ……この家もそろそろ限界なのかなー?

豊音「どうしよ……家を建て直す技術は知らないし……」

豊音「……外は嫌だよー」

ぶつぶつと独り言を話す。

聞いてくれる人はいない。

母――八尺様は勇気ある村の人々によって殺された。

父はその巻き添え。

そして、その時に暖炉の裏に隠されてなんとか逃れた豊音――人間と八尺様のハーフ。

そんな気味の悪い生物に集まってくる者なんていない。

……最も、小さな子供たちは彼女の存在すら知らないのだが。


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