過去ログ - 【咲:安価】京太郎「……家が無い」桃子「20っすよ、京ちゃんっ!」【鶴賀】
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807:八尺 ◆tXdh2WZ0lM[sage]
2012/12/26(水) 01:12:58.40 ID:cjSB0UNr0
京太郎「ただいま」

エイスリン「キョウタロウ!」

京太郎「ええ、京太郎です」

家に帰って彼を出迎えたのは、金色の髪と蒼い瞳を持つ、不思議な少女。

道先で倒れていたのを拾って以来、こうして家に住まわせている。

――どうせ、この家には人がいないのだから。

自らが間違いを犯さない限り安全で、そして自分は間違いを犯さないのだから、とそういった理屈の下に、少年は少女と一人屋根の下で過ごしていた。

京太郎「今日のご飯は山菜鍋です」

エイスリン「……サンサイ?」

京太郎「ああ、えっと……これ!」

エイスリン「!」

エイスリン「……オイシイ?」

京太郎「美味しいですとも!」

京太郎「騙されたと思って、食べてみてください!」

エイスリン「……ウムム」

彼女は言葉を話せなかった――正確には、出会ったときに自らの名前しか話せなかった。

その頃から、色々な言葉を教え続けて、そして今に至る。

京太郎「それじゃ、作りますね!」

エイスリン「ン、マッテル」

エイスリン「〜♪」

そしてもう一つ。

彼女は何度でも書き込め、何度でも消せる不思議な板と、それに線を引くための、墨をつけることの無い不思議な筆をもっていた。

――ぞくに言う、スケッチボードと油性ペンなのだが、彼はまだそれが何であるかを知らない。

エイスリン「デキタ!」

京太郎「こっちはまだ出来てないですけどね」

エイスリン「サンサイ!」

そして彼女が見せるボードには先ほど少年がとってきた山菜が。

エイスリンの右手にもその山菜が握られていた。

京太郎「……?」

おかしいな、自分は確かに全部入れたはずだけど。

エイスリン「ドウゾ」

京太郎「ああ、うん、どうも」

……ううむ、すこし取りこぼしたか。

ま、いいや、今からでも間に合うし、と楽天的に考えて、彼はエイスリンから山菜を受け取った。

京太郎「それじゃ、待っていてくださいね」

エイスリン「ン!」

そうして、それも煮込む。

……ぐつぐつ、と煮えたぎるそれを身ながら。

少年は山中で出会った不思議な少女のことを思い続けていた。


つづく?


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