2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/20(木) 05:10:33.03 ID:9KvLHikGo
2.
何十年かぶりに帰ってきた日本は、もう蒸し暑かった。
東京は相も変らぬコンクリートジャングルは、放射冷却できっと夜なお暑いのだろう。
それでも、ずっと前に行われた大規模区画整備や近年開発されたインテリジェント・マテリアルのお蔭で、以前よりは格段に過ごしやすくなっているのだとか。
もっとも、つい先刻までモスクワに居た彼女はその恩恵には与れていないのだが。
43年ぶりに祖国の土を踏んだ暁美ほむらは、しかし帰国に際して日本人の大部分が味わうような感慨をこれといって抱くこともなく、常態と変わらない足取りで街を歩いた。
20世紀には隆盛を誇っていた先進国は経済的には軒並み凋落していたが、日本の東京は未だに世界の先端都市の一つとしての機能を担っている。
その姿は常に変化を続け、こうやって大体半世紀を周期として帰ってくる毎にその姿を変えていく様は、まるでそれ自体が意志を持ち変化し続ける軟体動物のようだった。
人間は、その技術的な側面はさておいて、進化も退化もせず、しいて言えば継続し続けている。
相も変わらず世界のどこかではドンパチが起こり、血が流され、それについてどこかのインテリがワインを飲みながら批評する。
猟奇殺人、銀行強盗、誘拐、麻薬、その他諸々の犯罪が日夜発生し、1週間も経てば人々の記憶からは消え去る。
文化の衰退、回帰。風俗の乱れ、綱紀粛正。抑制と発散。それらは連綿と繰り返され、結局の所人類は歴史から何も学ぶところはなく、ただひたすらの反復を継続し続けていた。
かつてインキュベーターの言った、将来的な人類の宇宙進出、感情の消失は、当分――いや絶対に、起こりそうもない事に思える。
肩がぶつかったと因縁を吹っ掛けてきた、在日何世かのチャイニーズ・ストリートギャングを叩きのめしつつ、ほむらはぼんやりとそんなことを考えた。
三枚に畳んだ少年たちを薄汚い路地裏に放り込み、じりりと照る太陽に手を翳す。
暑い。
こういうことなら、もっと帰ってくる時期をずらせば良かったという気に駆られる。しかし、そうもいかないのだ。彼女が帰ってきたのには、明確な理由があるのだから。
数週間前にウェブ・サイト上に流された、とある噂。それは、かつてある魔法少女の一人が設立した魔法少女のコミュニティが運営するサイトに書き込まれたものだった。
世界各地の魔獣に関する情報が集積する、一大データベースの様相を呈した魔導書庫。
そこでは、ありとあらゆる魔法少女がらみの情報が迅速にやりとりされ、極めて活発な交流がなされていた。
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