過去ログ - ほむら「Raven"S"」
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22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/24(月) 02:28:59.24 ID:g/rAwmazo
3.

暁美ほむらの心はささくれ立っていた。

出会いたくない顔に出会った。

それは出会う筈のない顔でもあり、また同時に出会うべきではない顔でもあった。


「ははっ!奇遇じゃないかぁ、暁美ほむらぁ!」


呉キリカ。


魔法少女としての衣装はシックなデザインのものに変じ、体格も成人女性のそれへと変わっている。
それでも、その戦闘時に浮かべる独特の狂鬼じみた顔は見間違える筈がない。

比喩でもなんでもない遥かなる古の時代に死んだとばかり思っていたこの女が、今になって朗らかな笑みを浮かべて自らの眼前に立っている。
シトリンのような黄金の瞳を獣禽のそれのように光らせて、両手の鉤爪からは今しがた屠ったばかりの魔獣の瘴気、断末魔の欠片が立ち上っている。

魔獣の結界に侵入した暁美ほむらが見たのは、不遜でけたたましい笑い声と共に、まるで蝋燭の火を吹き消すかのような容易さで結界内部を制圧する呉キリカの姿だった。

実際に爪で切り裂く以外にもそこここで魔獣が寸断されていく様を見るに、恐らくは結界内の速度低下の効果を場所によって変えているのだろう。
空間単位で物体の物理的現象を操作――低下させる固有能力を持つキリカは、発生する効果に差を設けて相手をぶった切るという器用な真似が出来る。
これはかつて美国織莉子が考案した技で、巴マミが嬉々として必殺技名を付けようとしていたのを思い出す。


――かつて黄金時代があった。

まどかを失って、さやかが死んで。

それでも、皆でなんとか笑って生きて行こうと必死だったあの時代。

生き残った仲間たちと共に歩んだあの時間は、悲しみももちろんあったが、それ以上に喜びで満ちていたように思う。


少なくとも、佐倉杏子が死ぬまでは。


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