過去ログ - ほむら「Raven"S"」
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44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/30(日) 23:00:55.78 ID:dlefWGSko

「生存が確認できれば、あとは話が早い。上位監察官専用の連絡回線で人相書きを配布して見つけ出し、特に隠密活動に長けた連中にそれとなく見張らせた。
 そしたら、なんと食料雑貨エトセトラに安物しか使っていないというじゃないか。
 それも、その場限りの簡易アカウントなんていう社会的には最も信用ならない身分証を使っての買い物だ。
 キミが昔っから、"品質の良いものを末永く使う"タイプだってのは知っていたからね。これはもう、にっちもさっちもいかない生活状況なんだな、と勘付いたってわけさ」

「尾行させたの?そんな気配は全くしなかったわ、私の警戒をかいくぐってそんなことを出来る娘がいるとは思えない」

少なくとも、こと戦闘に関して言えば暁美ほむらには絶対の自信がある。
周囲の状況把握、銃撃による直接的戦闘、まどかから受け継いだ翼・弓による重爆撃、その他様々な点において、ほむらは誰にも負けないと自負していた。
それほどまでに、彼女は戦い続けていたのだから。

しかし、

「あまり自惚れちゃいけないよ?上級監察官になる条件は、魔法少女として60年以上のキャリアを積み、一定数以上の例外個体<イレギュラー>を撃破すること。
 私やキミには遠く及ばないとはいえ、誰もが優れた能力の持ち主なんだから。
 実際、遠距離からの"偵察"という一点に的を絞れば、私やキミのレーダーを掻い潜って動く事自体はかなり容易なんだ。
 それはもちろん、私やキミもやろうと思えば同様の事が出来るって意味でもあるんだけど」

信じられないことだった。長年、自らを研ぎ澄ましひたすら魔獣と戦ってきた自分が、たかだか60年程度のルーキーに出しぬかれるなどと。

だがそれは事実なのだろう、とほむらは即座に認識を改める。認めたくない事だが、近年の魔法少女たちの魔法技術は恐るべきものなのだ。
それは、世代を超えて培われてきたL.O.L所属魔法少女たちの練磨の賜物であり、また美国織莉子が目指した魔法少女コミュニティーの在るべき姿でもあった。

美国織莉子はかつてこう語った――全てを救うことなどできない。けれど、皆が手を伸ばし、互いにそれを取り合えば、皆が皆でカバーし合える領域は格段に広くなる。

彼女の理想は盤石なるシステムによって適正に運用され、彼女の想いはかつての相方によって世界に拡散されている。

彼女の残滓は世界に留まり、もはや世界と共に在ると言っても差支えないのだろう。
その意味では、美国織莉子という人物は"あの娘"と、暁美ほむらにとっての"最高の友達"と、極めて近い位置にいるのかもしれない。

――かつて存在し、そして今もなお世界に足跡を残し続ける彼女は。

「あの〜……すいません。"最上級監督官殿"は"協会"の発足当時からの面子だっていうのは知っているんスけど……
 そちらの方は?初期型ホームページがどうとか、なんだかずっと古くからの知り合いみたいな話ぶりなんですけど……」

ずっと要領を得ない顔をし、黙って話を聞いていた少女がとうとう発言した。

それはあって当然の疑問だろう。

呉キリカの、というよりは最上級監察官の威光は世界中に響いているらしいが、L.O.L.が管理するシステムの外にいるほむらは言うなれば"モグリ"の魔法少女だ。
魔法少女の一般常識としてはそういった存在は存在しないという事になっている。
それがために、暁美ほむらは現状世界の何処へ行っても曲者扱いされるさだめにある。

いかなる社会<Society>でも、そこからはみ出した者は村八分にあうしかない。



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