過去ログ - ほむら「Raven"S"」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/20(木) 05:15:38.38 ID:9KvLHikGo

魔法少女は、魔翌力を使用するたびに自身の魂の結実、ソウルジェムを濁らせる。

ソウルジェムの"輝き"とは希望の光だ。

魔法少女は、自身の希望の力、希望のエネルギーを消費して魔法を用いる。
そしてそれは無尽蔵ではなく、いずれは枯渇する有限なものなのだ。言ってしまえば魔法の行使とは、自分の未来への希望をすり減らし他人へと与える行為に他ならない。

通常、一般人の魂は無形だ。それは体内に格納され、スポンジに滲みた水のように肉体の内部に満ちている。
よく肉体は器として例えられるが、絶えず揺らぎ続ける人間の情動はコップや茶碗の中で荒れ狂う水ではなく、むしろスポンジ内部で所により濃度を変える水溶液なのだ。
「病は気から」と言う諺が指し示すように魂はスポンジたる肉体に影響を与え、逆にスポンジの状態――つまり肉体の状況、風邪をひいたり怪我をしたり――如何で溢れたり零れ落ちたりもする。

この無形無質量な筈の魂が無理やり成形された姿がソウルジェムだ。

本来の無形な魂は、少なくとも他人に希望を振り撒いたくらいで自身の希望をすり減らしたりはしない。
これは、そもそも精神エネルギーというものに熱量保存の法則を当てはめるのが不可能だからだ。

それは確かに消費しても減じることのない夢のようなエネルギーではあったが、反面肉体の外部に与える影響力というものが著しく希薄だった。
せいぜい周囲の人々をピリピリさせたりほっこりさせたりするのが関の山で、それで以て物理的な現象を引き起こすのは至難の業だったのだ。
インキュベーターたちの技術的発想は、その「減らない・効果の弱い」精神エネルギーを「減る・効果の強い」ものへと変じさせる事にある。

その前提条件となるのがソウルジェムだ。
無形のものを有形にすることで、魂という代物に「限界値」を設定する。
無形であるが故に無限となり得る魂と、それに包含された希望の光は有形化により有限となる。
その恩恵として、有形化された魂は、外部への多大な影響力を行使するためのバッテリーとなるのだ。

そう、魔法少女にとってソウルジェムとは、自己を規定する本体=己自身の本質ではなくバッテリーなのだ。
これがないと、肉体という部品を起動することも魔法を用いることも出来ない。

魔法少女を含めた人間の、もっと言えばの全ての生命体が保持する"自我"とは、脳髄の生み出した単純な化学反応の連続性に終始し、脳神経のイオン電位差が生み出した幻影に過ぎない。
魂とは、羅針盤――脳髄でしきりにうつろうイオン電位差が生み出す具体性ある"自我"の方向性を指し示す仕組み――を動作させるための電源装置なのだ。

魔法少女は、その本来ならば無形・無限のバッテリーを有形・有限なものへと変じさせ、魔翌力の行使、肉体の動作、その他一切の生命活動にも適用させている。

かつては意志の淵源を司るだけだった精神エネルギーは、魔法少女にとっては全てのボディパーツを作動させるための重要なエネルギー源となっていたのだ。


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