2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/28(金) 22:54:29.65 ID:V1/jJoJX0
大きなスペースにこれでもかと押し込まれた本達は、少し触れてしまっただけで全ての均衡が崩れてしまいそうだ。
その多くの本の中から選び取ったのは、『禁ず呪術』という本。
昔から現代に至るまで、多くの魔術師が禁忌を犯して作り上げた呪術の効果が書いてある。
発禁処分を受け、一部の流通ルートを除いてはお目にかかれない本である。
本を片手に、ガブリエルは閲覧室に戻った。
「・・・これだ。」
『苦しみの人形』
「魔術師ベルウェア=フランソワが20年という構想を経て作った呪術。道化師によるパペットの余興がヒントになったと言われている。効力は人体を乗っ取り、術士にしか自由がきかなくなるものだ。術自体の構造は綿密に練られた結果、非常に複雑な物になっており術の継承は口伝である。一部の人間の間では『暗殺者(アサシン)』が現在までこの術を継承し、それを使用し暗躍しているという噂がある。」
「『暗殺者(アサシン)』かぁ・・・・」
そうつぶやくと本を閉じて閲覧室の窓から外を見た。
高低差の多い場所に立つ孤児院からは、大きな空とどこまでも続く草原しか見えない。
たまに通る物と言えば家畜を積んだ馬車程度の物だった。
だが、窓に付けられた鉄格子に顔を思い切り近づけてガブリエルはその外の風景を眺めていた。
孤児院に来るまでは広い世界がこんなに魅力的な物だとは気づかなかったからだ。
少年は、光が差し込んでいるはずなのに年中暗い雰囲気の孤児院はもうこりごりだった。
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