6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/28(金) 22:10:47.01 ID:TAqxv/he0
「ん?……大してなんでもないぞ」
「ではなぜ……!」
「ただ自分の無能さが嫌になっただけさー」
なんてことはないというような口調で響は答える。貴音はそれでも、というように食い下がった。
それでも、いつもの響ではない。お酒を飲むことも、そんなふうに言うことも、いつものあなたではないのだと今にも泣きそうな声で。
貴音が言葉を発するたびに響の表情は歪んでいった。
貴音には、自分の視界がそうなっているのか、それとも響が泣きそうな顔をしているのかすらもう判断はつかなかった。
ただ、必死だった。怖かったのかもしれない、これまで自分が無意識に甘えていたこの目の前の少女が違う場所へ、遠くへ行ってしまいそうなのが。
「貴音」
響の低い声が貴音の名前を呼ぶまで、貴音は何度も同じような言葉を繰り返した。
まるで壊れかけのラジオのように。ここ最近のこと、今日の撮影のこと、そんな関係のないことまでがなぜか貴音を焦らせた。
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