過去ログ - ほむら「あなたにもう一度」
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202:まどか編第五章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:06:27.38 ID:/KE04hO/0
 ****まどか編第五章

 最初に認識したのは、手袋の上から手首に結ばれた紫色のリボン。
 周囲の音に対して無意識にわたしの身体は反応し、少し離れた位置にある音源を射抜きます。
 一つ、二つ、三つとピンクの矢で射抜かれる異形の存在。魔獣と呼ばれるそれは、キューブ状のグリーフシードを生み落として消えます。

「危ない!まどかっ!」

 張り上げられたさやかちゃんの声。迫り来る影に気がついたとき、魔獣の目前に迫っていて……。
 あ……。正気に戻ったときにはもう避けられない位置にいました。

 その場に固まってしまった、そんなわたしの右腕を強い力が引っ張ります。
 攻撃を避けられた魔獣は、脇から現れた黒い少女の長い爪で裂かれました。
 右目に眼帯を着けた黒髪ショートの少女は、ヒラリと身を翻して傍にいる魔獣を爪で切り裂いていきます。どうやらわたしは助けられたようです。

「戦闘中に呆然とするなんて」

 怒気を含んだ静かな声が聞こえてきました。聞き覚えのないその声に、わたしは顔を上げます。
 顔立ちの整った、これまたヒラヒラとした全身白い装束の女性がわたしを見下ろしていました。

「鹿目さん。あなたはもう少し自分の立場を……」

 そこまで言ったところで、目の前の女性は目を見張ります。
 視線の先にあるのは、彼女が掴んでいるわたしの手首から垂れている紫色のリボン。ほむらちゃんから託されたリボンでした。

「そう……。今日だったのね」

 得心が行ったように、染み染みと彼女は言いました。全く意味が分からず、わたしは首を傾げてしまいます。

「あのぅ……」

「あら。ごめんなさい」

 戸惑うわたしに、白い魔法少女は優雅な笑みを零します。漫画に出てくるような、生粋のお嬢様、という表現がよく似合いそうです。

「私は美国織莉子。こちらが」

 そのタイミングで織莉子さんの背後に飛び降り、背を合わせる人物。先程わたしを襲った魔獣を倒していていた黒い魔法少女でした。

「呉キリカ。私の大切な相棒(パートナー)よ」

 織莉子さんの紹介に、キリカさんは戦闘中にも関わらず、笑顔で片手を上げます。
 キリカさんが倒し零した周囲の魔獣を、織莉子さんが結晶で弾き飛ばしました。
 あまりにも自然だったので、守られていることに今更ながら気付きました。

「ありがとうございます」

「いいえ。……キリカ」

〈皆さん。こちらが手薄になるので補佐お願いします〉

 会話の途中から念話を周囲に飛ばす織莉子さん。

「織莉子は私が守るよ!」

 一番最初に反応したのはキリカさん。条件反射のような速度です。


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