192:まどか編第二章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/27(土) 23:49:08.57 ID:u81ECVb60
****まどか編第二章
三色の吊り橋を、わたしは浮き進んで行きます。
手にあるのは二本の紫のリボン……ほむらちゃんが身に着けていたリボンです。
ほむらちゃん……。
193:まどか編第二章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/27(土) 23:50:29.28 ID:u81ECVb60
ゆっくりと近付くほむらちゃんの顔。キス……するの……かな?
期待してしまっているようなわたしの思考を肯定するように、ほむらちゃんの唇はわたしの口へと向かっていきます。
でも脳裏に浮かんだのは、橋の向こうに置いてきた三つ編みのほむらちゃん。
別れ際の三つ編みだったほむらちゃんと、目の前にいるほむらちゃんの姿が重なったのでした。
194:まどか編第二章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/27(土) 23:51:27.42 ID:u81ECVb60
再びほむらちゃんは顔を近づけ、キスしようとしています。
「嫌だ……嫌だよ」
ほむらちゃんが消えるなんて。そんなの認めたくない……。受け入れたくない……。ほむらちゃんとずっと…。
195:まどか編幕間二 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/27(土) 23:52:40.75 ID:u81ECVb60
****幕間二
まどかが泣いている。まどかは優しいから……私が消えると知って泣いている。
泣かないで……。‘私’の為にあなたが泣く必要なんてないの。
まどかの為にこの存在を懸けられることを……その事実を喜んでいるのだから。
196:まどか編第三章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/27(土) 23:55:10.81 ID:u81ECVb60
****まどか編第三章
数多の星が散りばめられた宇宙の中を駆け抜けます。
外観とは異なり、城の中は壁の分からない宇宙空間のような世界でした。入口から延びる一筋の星雲の道を足音を響かせながらわたしは走っているのです。
蒼い星。山吹色の星。紅い星。そして菫色の星。時折、大きくて、力強い輝きを持つ星を視界の脇に捉えながら、しっかりと前を向いてわたしは駆け続けます。
197:まどか編第三章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/27(土) 23:56:21.59 ID:u81ECVb60
「全てが同じ時間軸が存在することはありえないわ。それは同様に、他の時間軸の干渉が無くても、結末が全く違うこともありえるということでもある」
そこまで聞いてようやく一つの可能性に気が付きます。
「もしかして……わたしが知らない時間軸のほむらちゃんの祈りなの?」
198:まどか編幕間三 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/27(土) 23:58:26.18 ID:u81ECVb60
****幕間三
いざ、まどかに再会すると、どう接していいか分からないわ。私がまどかを喪ったのはもう遠い過去の話。
長い長い戦いの末に会えたのは嬉しくて。懐かしいあなたがそこに居るだけでも感激で……。感動のままに抱きつけたら……泣くことができれば楽なのだけれど。
でもそんなことに時間を費やしたら、横槍が入りかねない。相手が‘私’でも、まどかと過ごす時間に邪魔が入るのは不愉快だわ。
199:まどか編第四章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:00:54.28 ID:/KE04hO/0
****まどか編第四章
ほむらちゃんがいた空間に頭を下げるように、わたしは片手を付いていました。
もう何も考えられなくて。お別れする時間も与えられずに、ほむらちゃんが目の前で消えてしまって…。哀しみ、泣くことすら出来なくなっていました。
どうして……? わたしはただ、ほむらちゃんが、皆が生きて笑ってくれれば良かったのに。
200:まどか編第四章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:02:27.54 ID:/KE04hO/0
不安になり、思わず尋ねます。それほどまでに‘今まで会ったほむらちゃん’とは違う人物に見えたのです。
「ええ。紛れもなく‘暁美ほむら’本人よ」
わたしの失礼な質問に気を悪くした様子も無く、‘ツインテールのほむらちゃん’は即答しました。
201:まどか編第四章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:03:57.54 ID:/KE04hO/0
枯れたはずの涙がまた溢れます。わたしたちは互いに自分の意思を一方的に押し付けて、自己満足していました。
大切な人の命や存在と引き換えに救われたとして、喜べるはずがありません。
自分を大切に思う人の気持ちを考えろって何度も言われていたのに……結局わたしは最後まで考えが足りていなかったのです。
「……鹿目まどか」
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