211:杏子編第一章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:25:05.96 ID:/KE04hO/0
病院に入り、関係者に挨拶を返しながらマミは進んでいく。辿りついた先は人通りが殆どない高層の個室。ノックをした後、そのまま入った。
ベッドの脇にある台に見舞いの花束を置き、ベッドの脇にしゃがむマミ。片手をそこに置かれた手に重ね、その手の主の顔を覗き込んだ。
あたしは後ろに並びベッドの上を覗く。
212:杏子編第二章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:26:51.02 ID:/KE04hO/0
****杏子編第二章
傾けられたベッドの上から空を見上げる三つ編みの少女。開こうとしたまま手を添えられた本は閉じたままで、細い眼は遠くに向けられている。
まるで消えてしまいそうなほど、儚い姿をしていた。
213:杏子編第二章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:27:38.51 ID:/KE04hO/0
「ん?……いやさ……何かやけに難しそうな本を読んでるな、と思っただけだ」
内心焦りながら、たまたま目に入ったほむらの手元の本を話題にする。銀河……何だこれ。題名だけで、もう頭痛がしそうだ。
「……正直、私もさっぱりです」
214:杏子編第二章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:28:53.67 ID:/KE04hO/0
「……寝不足と疲労から来る体調不良。……何してんだ……あんた」
215:杏子編第三章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:30:53.57 ID:/KE04hO/0
*****杏子編第三章
ザーザーと雨の音がする。
「―――なぁー」
216:杏子編第三章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:32:12.48 ID:/KE04hO/0
坊や、と口にした瞬間さやかは僅かに顔を歪ませたが、何もなかったかのように笑っていた。
「違うよ。ただ……変な話なんだけどさー。あたし自身、誰なのか分かんなくってね」
その言葉にあたしは思わず眉をひそめる。
217:杏子編第三章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:33:06.49 ID:/KE04hO/0
「……そうか」
俯き泣くさやかの頭に手を乗せて撫でた。
居場所……か。あたしもほむらと出会わなかったら、自分の為だけに生きる魔法少女として放浪を続けていたんだろう。
218:杏子編第四章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:36:16.05 ID:/KE04hO/0
****杏子編第四章
温かな日差しの差す廊下。人の気配が無いことを確認して窓から侵入する。それから正面にあるドアに耳を当て、中に来客が無いことを確信してドアを開けた。
「ほむら」
219:杏子編第四章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:37:18.63 ID:/KE04hO/0
「あれ?あたし自己紹介まだだっけ?」
さやかも同じこと考えたのか首を傾げた。
ほむらが目覚めたときはさやかも部屋を覗いていた。あの日聞いたバイオリンはさやかの幼馴染が屋上で弾いていたとのこと。
220:杏子編第四章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:39:34.47 ID:/KE04hO/0
二人の様子を壁に凭れ掛かって見守っていると、荷物整理を終えたマミが静かに横に立った。
「すっかり仲良しね」
「そうだな」
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