29:幕間3 ◆2gMnW4GmGpwP[saga sage]
2013/01/04(金) 00:18:58.10 ID:IQ0//o8j0
  ――― 
  ―― 
  ― 
   
  いざ、まどかに再会すると、どう接していいか分からないわ。 
  
  私がまどかを喪ったのはもう遠い昔の話。 
  
  長い長い戦いの末に会えたのは嬉しくて。懐かしいあなたがそこに居るだけでも感激で…。 
  
  感動のままに抱きつけたら…泣くことができれば楽なのだけれど。 
  
  でもそんなことに時間を費やしたら、横槍が入りかねない。 
  
  相手が‘私‘でも、まどかと過ごす時間に邪魔が入るのは不愉快だわ。 
  
  だから私は感涙しそうなのを我慢して、まどかが知りたい事実に辿りつけるよう会話を運ぶ。 
  
  
  こんな形で…また過ごすことが出来るなんて想ってもいなかった。 
  
  まどか…。あなたを喪ってから、私はあなたの出来なかったことを、やり残したことをしようとしたわ。 
  
  友達と過ごす時間を。家族と過ごす時間を。 
  
  あなたの分もしっかりと噛み締めようと思ったの。 
  
  実行出来たかというと、それはまた別の話だけれども。 
  
  …巴さんや佐倉さんとの関係は良好だったから、許してもらえると有難いわね。 
  
  
  与えられた最後の時間が終わりを迎えようとしている。 
  
  
 「ほむらちゃん、酷過ぎるよ」 
  
  
  失敗したかしらね…。 
  
  顔を覆うまどかを見て、話したことにも罪悪感を覚える。 
  
  ‘私‘たちを救うために自身の存在を消すような祈りをしたまどかが、私の消滅を知って泣かないはずはないのに…。 
  
  そんな優しい子だから私は惹かれ、闘い続ける道を選んだのに。 
  
  すっかりそのことが頭から抜け落ちていたわ。 
  
  最後に会ってから長い年月を経たことによる弊害ね…。 
  
  でも…私はあなたに人として生きて欲しかった。 
  
  そしてそれは、あなたに救われ、あなたの居ない世界を生きたことで尚更強まった想い。 
  
  だから私は、あなたが傷つくと知って、それでもこの役目を引き受けたの。 
  
  まどかから渡されたリボンを返すとき、再会して初めてまどかの肌に触れた。 
  
  血の通った、温かなまどかの手。なんて愛おしいことか。 
  
  概念となる‘私‘の想いを集約する言葉はやっぱりこれでしょうね…。 
  
 「あなたを好きでいられて幸せよ。ありがとう」 
  
  唇を重ね合わせたその瞬間、‘暁美ほむら‘の自我は消えたのだった。 
  
248Res/292.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。