58: ◆KbI4f2lr7shK[saga sage]
2013/01/14(月) 21:29:41.36 ID:BgtmzbLb0
「もう…キリカったら…。鹿目さん。時間がないから視せるわね」
織莉子さんは胸元にある、大分濁りの進んだ白真珠のような色のソウルジェムを取り外して、コツンとわたしの額に当てます。
それと同時に幾つもの映像がわたしの脳裏を走りました。
傷だらけで倒れたわたしと…その向こう側で戦う見知らぬ魔法少女たち。
その魔法少女たちが戦っていたものの正体に気付いて絶句します。
「うそ…魔女…っ」
魔女を滅ぼす理が存在する、この世界にはいないはずです。
それなのにどうしてこんな映像が見えるのでしょうか。
「私の力は予知。先程視せたのは、『鹿目まどかが理に導かれなかった未来』。
鹿目さん、あなたが事故死したり、理を拒絶するようなことがあれば、‘彼女’の理は壊れてしまうわ。
…よく覚えておきなさい」
そう言って織莉子さんはソウルジェムを元の位置に戻し、身を返します。
「キリカ。準備は整ったわ」
「オッケーだよ!」
キリカさんは呼応して、織莉子さんと一緒に結界の外へと飛び出しました。
わたしも追いかけようとしますが、マミさんの結界がそれを拒みます。
『鹿目さん。申し訳ないけど、守護者が居ない状態であなたを戦闘に出すわけには行かないの』
マミさんの念話が聞こえてきました。
どうやら、わたしの足止めを兼ねた結界のようです。
『守護者…』
「ええ」
場を離れた二人の代わりにマミさんがわたしの周囲に寄ってきた魔獣を蹴散らしていました。
「辛いけど…美国さんの計画を実行することになったわね…」
前線で魔獣を狩り始めた織莉子さんとキリカさんのダッグを見て、心底辛そうにマミさんが零します。
辛そうにしていたのはマミさんだけではなく、杏子ちゃんも唇を噛み締めて魔獣を狩り続けていました。
一体何を…そう思ったところで、織莉子さんとキリカさんの笑みがわたしたちに向けられます。
『鹿目さん。‘彼女’の在り方を目に焼き付けておきなさい』
『私たちは先に逝かせてもらうよ。すぐ来たりしたらズタズタにするから、覚悟しておくんだね』
魔獣の集団の中央に立った二人は穏やかな笑みを浮かべ、背中を合わせます。
ポツポツとキリカさんが何かをつぶやくと、織莉子さんは一瞬驚いた顔をし、それから嬉しそうな笑顔で涙を零します。
その瞬間、彼女たちを中心に光が爆ぜました。
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