93: ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/05/06(月) 18:06:21.26 ID:uNFuRhiC0
この縫いぐるみのシリーズが詰まった箱を見つけたとき、偶然通り通りすがったさやかにからかわれたのを思い出したのだ。
今思い出してもムカつくな…。
こっそりと舌打ちしそうになって、誤魔化すようにポケットの中を探る。
いつもならお菓子が入っているのだが、そこには別の固いケースが入っていた。
…そういや、ほむらは飲食できないから抜いてきたんだったな…。
忘れていた事実に苦笑する。
「どうかしました?」
いつの間にかほむらがこっちを見ていた。ほんの僅かな変化だったのに気付かれていたようだ。
「ん?…いやさ…何かやけに難しそうな本を読んでるな、と思っただけだ」
内心焦りながら、たまたま目に入ったほむらの手元の本を話題にする。
銀河…何だこれ。題名だけで、もう頭痛がしそうだ。
「…正直、私もさっぱりです」
思いっきり顔をしかめたあたしに、ほむらは同調する。
「何でそんなもん持ってんのさ…」
どんな意図があれ、明らかに選ぶ本がおかしい。明らかに専門書だ。
「えと…」
困惑しつつ、途切れ途切れにほむらは説明する。
散歩のときに見かけた人が宇宙…何とかとか勉強している学生だったらしい。
その学生が持っていた本の表紙が銀河の写真だったそうで、不思議と気になったんだとか。そんなほむらに気付いた学生に声を掛けられ、後日写真が多く載っているこの本を譲られた…とのこと。
要領は得ないが、総合するとそんな感じだ。
…無防備にも程がある。話が進むごとにあたしは機嫌が悪くなり、それを読み取ったほむらは委縮していた。
まだ幼いとはいえ、ほむらは美人だ。相手が下心の1つや2つ持つのが当たり前だ。…後で処理しておくか。
「ほむら」
「は…はいっ」
「あたしとマミが許可した奴以外とは話すんじゃねぇぞ…いいな」
「…っ。分かりました!」
怒気を含んだ声に涙目になりながらもほむらはしっかりと頷いたので、あたしはほむらの頭を撫でた。
それで安心したのか、肩を降ろして大人しく俯いていた。
思ってた以上に危なっかしいな…ほむらのやつ。内心呆れ、同時にほむらの現状を思い出して納得した。
まず、数年前の事故から最近まで眠っていたこと。
加えて、マミの話によると事故以前は転院が多い病院生活が長かったらしい。
それに加えて今のほむらは――
248Res/292.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。