過去ログ - 男「しかし、雨が降るんだろ?」 - オリジナル小説
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2:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2013/01/02(水) 22:21:07.52 ID:Q3TbXfdh0
 どこまでも続く荒涼とした世界だった。
 
 焼けた空気が舞い、焦げた空気が辺りを包む。
 
 動く者はいない。
 
 ゆらめき、瞳を焼き、髪を焦がす熱砂が風に巻き上がり、ゆらりゆらりとたゆたっている。
 
 男は体を内側から焦がすその空気の中、マントに隠した口元で細く、糸のように息をした。
 
 ぽたりぽたりと地面に落ちていく汗が、
 しかし赤茶けた砂に当たる直前で簡単に蒸散して掻き消えていく。
 
 空を見ようとして目を伏せる。
 
 光ではない、針だ。
 
 空から幾億本もの針が体の上に突き降ってくる。
 
 そこを男は、今日も一人で一歩一歩、噛み締めるように歩いていた。


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