過去ログ - 比奈「アタシのしたいこと」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/01/04(金) 00:11:47.09 ID:3dmI/Z+Do
「むー、今日は重症ですね……悩みごとでもあるんですか?」
 そんな言葉にも煮え切らない様子の比奈。その姿に、春菜の方も表情を改めて尋ねる。
「私には話しにくいことですか?」
「……かもしれないッス」
「――そうですか。わかりました、じゃあ私からはこれ以上聞きません」
 代わりに頼りになる先輩に相談に乗ってもらいます、そう言うと、携帯を片手に春菜はぱたぱたと小走りで楽屋を出て行く。
「うー、ダメッスね……」
 つい今し方言われたばかりにもかかわらず、再び溜息をついている自分に、ぐったりする比奈。
「ここにいていいのか、なんて」
 多少強引だったとはいえ、納得して選んだ居場所だったはずなのに、気がつけばその眩しさに俯いてしまっている――悪いのは自分で、他の誰でもありはしないのに。
 応援してくれる人たちがいて、同じ時間を過ごす仲間もいる。そこまで分かっていてふっきれないのには、我ながら情けないとさえ思える。
 そんな思考の堂々巡りに囚われ、さらに溜息の追加オーダーをしかけたところで、春菜が飛び込むようにして楽屋に戻ってくる。
「これでもう大丈夫です! 頼りになる大先輩にお願いしてきましたから!」
 ちゃんと相談して解決してきて下さいね!、と日時が記されたメモを手渡し、それがくしゃくしゃになりそうな勢いでぎゅっと比奈の手を握りしめた春菜は、
「私は比奈ちゃんのこと大好きだし、応援してますから! 元気がないと寂しいです」
いつになく真剣な表情でそう言った。
「春菜ちゃん」
 ありがとう、そう言いかける比奈を押し止め、やおら懐から何かを取り出す春菜。
「お礼はこれをかけてもらえるだけで十分です」
 言うまでもなく、眼鏡である。
「……あのね、だからアタシは」
「新作です! 今度もお揃いです! これで大人気間違いなしですよ!」
 どうぞどうぞ、と差し出されるそれを結局断れずに受け取りつつ、この娘もこれがなければなあ、とちょっぴり遠い目をする比奈であった。





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