過去ログ - 比奈「アタシのしたいこと」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/01/04(金) 00:12:29.93 ID:3dmI/Z+Do

「……それで、眼鏡の話でしたっけ?」
「あ、いや、それは話の枕みたいなもので」
 ――そして約束の当日。
 比奈の向かいに座っているのは、春菜がアポを取ってくれたその人――秋月律子である。今日もびしっと決まったスーツ姿に、なんとなく気後れしてしまう比奈。それでも、自分の胸にあるもやもやをどうにか言葉にし、そしてずっと抱えてきた悩みを恐る恐る口にする。

「――アイドル、向いてないんじゃないッスかね」

 何を今更と叱られるかもしれない――この年下の先輩は、それはそれは厳しいのだ――その思いから、ああいやそれで元々日陰者だし裏方とかいいんじゃないかなとか考えたんスけどね、としどろもどろになる比奈。
 そんな彼女の言葉が途切れるまで、黙ってそれを聞いていた律子は、そうですか、と小さく呟いてからきっぱりと告げた。

「辞めたいのなら辞めればいいんじゃないですか?」

「……え?」
 予想していなかった言葉に、突き刺されたような衝撃を受ける比奈。けれど、彼女に口を挟む隙を与えず、律子は続ける。
「別に義務ではないですし、二度と辞められない、なんてひどい契約はしていないはずです。まあ、事務所のみんなには引き留められると思いますけど、本当に辞めたいならそれも関係ないですよね?」
「う……」
「まったく、プロデューサーも困った人です。みんながみんなアイドルになりたいわけでもないのに、ところかまわず目についた相手を引っ張ってきて」
「そんな、プロデューサーは悪くないッスよ。アタシが……」
「そうですか? 望んでもいない人を連れてきたのなら、やっぱりあの人が悪いと思いますけど。でも、それですぐ裏方というのも、」
「だけど、ここに来たのはアタシが決めたことなんスよ!」
 らしくもなく声を荒げ、思わず立ち上がりかけた自分に、比奈は気づく。
 何故律子の言葉に反発心を覚えてしまうのか、その理由。


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