過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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103: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/07(月) 21:32:15.28 ID:i9eeC+ki0
まどかに攻撃を仕掛ける魔女はそれだけ脅威に感じているのだろう。ネミッサもマミも、杏子や檻ですらフリーになっている。無軌道に動く車輪をマミと杏子が破壊する。これでほとんど檻も問題ない。まどかを襲う剣もマスケットや槍で破壊した。再生するまでの間、まどかに寄る。

「鹿目さん?」

「巴マミ、佐倉杏子、御礼申し上げます。ありがとう」

「え、本当に神様?」

「だからそういってんだろ、ほら、ネミッサのヤツを守るんだろ」

マミの背中を叩き、杏子は攻撃に移る。ネミッサに攻撃が行かない様、派手に攻撃する必要がある。槍を分解し、鉄鎖鞭として伸ばすと魔女の胴体めがけ連続攻撃を掛ける。次いでマミは帽子やスカートから大量のマスケットを作り出し、魔女の関節めがけ的確に狙撃を加える。大きくのけぞり地に手をつく。立て直した魔女は案の定、まどかからマミたちに視線(らしきもの)が移る。
ネミッサは魔女とリンクした。まず聴覚を自分のそれと繋ぐ。これで外部の音が魔女の魂そのものに届くはずだ。次いでその場にいるすべての魂にスポアを飛ばす。
曲はいつしかグノーのアヴェ・マリアに変わっていた。二人にとって思い出深い曲を思いつくまま奏でているようだ。

魔女の動きが鈍る。ネミッサの耳を経由して魔女に届いているのだ。振り上げた大剣が静かに降ろされる。異常に気づいた杏子やマミが武器を下げた時、まどかがネミッサにゆっくりと近づく。
杖を掴む手に自らの手を添える。ネミッサと目を合わせ頷くとまどかはにっこりと微笑んだ。

「よくやってくれました」

上条の演奏は忘我の域にあった。さやかの魔女も、惨劇も、目に移りつつ目に入っていない。ただただ自分の立っている場所も忘れ奏で続ける。上条の頬に、涙が滴る。
攻撃が止んだことに気づくと、ほむらも武器を下げる。今までに見たこともない光景にただただ驚いていた。これまで戦った魔女は、外部からの攻撃以外の刺激に対し反応を示したことは殆ど無い。今回のように曲に聞き入るようにしていることなどなかった。何が起きているのかを心で自問自答した瞬間、答えが帰ってきた。

”魔女にアタシの聴覚を繋いだ。アタシの音が魔女にも聞こえるようにしたんだ”

テレパシーのように頭に響く声に驚きながら周囲を見渡すと、ほむらの左肩にピンク色のコウモリにも似た虫らしきものが浮かんでいた。ほむらは知らないがこれはネミッサのキャリアだ。本来ならばマニトゥがこれを生み出し、人間の魂を回収しマニトゥに持ち帰る役割を果たす。だが今回はネミッサとほむらたちを繋ぐレシーバーの役割を果たしている。

”これで多分サヤカちゃんに声が届くはず。みんなも繋いだから、呼びかけてあげて”

”わ、私は……関係、ないっ……”

”いいかげんにしろっっ! いつまでアンタは自分も騙すんだ!”

ビクッと、ほむらが怯む。ネミッサの言葉が図星を付いたからだ。だが、唇を噛み締め答えることはない。答えることは出来ない。なぜならば、認めた瞬間、自分を許せなくなるからだ。元々、彼女は心優しい少女である。だからこそ、自分のこれまでのループでの行動が許せない。だから騙す。
美樹さやかがどうでもいいなんて大嘘だ。巴マミを救えなくていいなんて思ってない。佐倉杏子の顔を立てて共闘を申し込んだわけじゃない。

みんなみんなみんな助けたく救いたくてでも力が足りなくて信じてもらえなくて見捨てて見殺しにしてむしろ殺して悔やんで苦しんだから気づかないふりして自分を騙してクールなふりをしてまどかだけと言い聞かせてきたけど結局撃ち殺して魔女にもさせてしまってやっぱり苦しめて見捨てて見殺しにして繰り返してきてそれでも助けられなくて自らを騙してないと歩き続けることもできなくて歩き続けて来た私がすくわれていいはずがない

”アタシがアンタを救ってみせる! アンタの腕で足りないならアタシが手伝う。そうすればマドカちゃんくらい腕の中に入るよ”

”馬鹿言わないの。私もやるわ。三人なら、美樹さんも入るわよ”

”おいおい、あたしもやらせろ。共闘関係はまだ終わってねーぞ”

”貴女の両手には鹿目まどかの運命は大きすぎて入らないのかも知れません。ですが皆が手をつなげばその中に入れられますよ”

「わ、私は……私はっ!」

溢れそうになる感情をほむらは飲み込んだ。だめだ、今溢れたら、目的が達成できない。出来なくなる。
見捨てた、見殺しにしてきた人からの好意に、ほむらは戸惑っていた。



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