過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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78: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/06(日) 21:57:25.47 ID:WjAemYY10
「アンタは、『カミジョーへの告白を一日待つ』とか言って、サヤカちゃん追い詰めたらしいわね。どう? 親友追い詰めて幼馴染も奪った気分は」

「止めて! 仁美ちゃんも苦しかったんだよ! だから、あんなことになって」

「苦しかったらなにしてもいいのか! 相手の事情も気にせず追い詰めていいのか! それがいいならアタシが何やったっていいはずだっっ!」

まどかも言葉がない。言い返すほどの経験がないこともあるが、さやかと仁美、双方の事情を知っているだけにどちらかに偏ることが出来ない。

「あ、あなたに何がお分かりですか! わ、私がどれだけ苦しんだか! 悩んだか! 私だって……」

苛立ったネミッサは雷球を作り出し、地面に投げつける。激しい音が響く。『だまれ』。そう言っているかのように。

「だから一日『告白をまってあげた』んでしょ。譲歩したフリして一方的に期限切って、一方的にルール押し付けてたんだ、かなり有利だったろうね」

「そ、そんなこと!」

「時間をもらったサヤカちゃんは追い込まれたでしょうね。勇気を出して『譲歩してくれた』アンタの気持ちを初めて知って、整理する時間すら無かったんだから」

「ネミッサ! いい加減になさい!」

無視。

「待ってくれ、僕はさやかにそんなことされてない。さやかが、僕を……?」

「だろーね。事情があってね……アンタを諦めたんだもの。本気で気づかないとか、わざとやってんのかと思ったわ」

一呼吸置く。

「アンタ事故った左手治ったんだってね。おめでとう。その件でアンタに毒打ち込みたいのよ、受け取って」

「止めなさい!」

無視。

「『奇跡も魔法もあるんだよ』かな。逆? 医者が見放した腕が動く前、そんなこと言ってなかった?」

上条には心あたりがある。さやかが探してくれたレアなCDを動かない左手で叩き割ったときの、さやかが真剣な顔で言っていた言葉だ。あれは完全な八つ当たりだった。それでもなお、さやかは上条に優しく接していた。幼馴染という部分に甘えていたのは、上条の方だった。

「アンタの左手はサヤカちゃんが治したんだよ。その引換に、アンタたちと違う世界に……」

ネミッサが吹き飛ぶ。ほむらが拳でネミッサの顔を殴りつけた。華奢なほむらではあったが魔力で強化した力は上条に近い長身のネミッサを黙らせるには強すぎた。だが、たたらを踏んだだけで堪える。ほむらの失敗は、無理やりネミッサを黙らせたことで、図らずもネミッサの言い分を肯定した形になったことだった。
殴られたはずがほむらを一切に見ずに、上条と仁美を見据える。

「これで逆に信じてくれたかしらね。アイツはアンタたちとは違う世界に行ったのよ。アンタの腕と引換に、いつ死んでもいいような世界にね」

二人は全く頭がついていっていない。ただわかることはネミッサの叱責が一理あり、一縷の後ろめたさを持っていたためか返す言葉もない。これはネミッサの唯一の復讐でもあった。どちらが正しいとかではない、ネミッサはそこまでさやかを追い詰めた二人を許せなかった。

「バイオリン引くたびに思い出すといいわ。アタシから言いたいのはそれだけ」

踵を返し振り返らず立ち去るネミッサ。その後ろでうなだれる上条と仁美。なだめるまどかを横目に、ほむらはネミッサを睨み続けていた。それをただ一人マミだけがネミッサを追いかけた。


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