過去ログ - 御坂「あんたなんて」食蜂「大嫌いよぉ」
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[saga]
2013/01/11(金) 23:15:08.11 ID:bpYk7R6AO
〜5〜
食蜂「今走ってる道路がM4、ロンドン市内には入るまではぁ」
右手にスマートフォン、左手に地図帳と交互に睨めっこしている食蜂から目を切って私は頬杖をついた。
あいつと出会ってから半年、あいつと愛し合った半月を、自分でもどう扱って良いのか全然わからない。
会っても縒りを戻したいってみっともなく縋りつきたいの?それとも平手打ちの一つでもお見舞いして?
食蜂「あと一五分ねぇ☆頼むわよ見ず知らずのドライバーさん」
白人男性「we have received」
私の身の上話なんてそれこそ一言で済む。『泥棒猫に彼氏を寝取られてヤリ捨てされちゃいました』って。
あいつを憎めば良いのか、シスターを呪えば良いのか、自分を恨めば良いのか、それさえわかっていない。
ただ耐えきれなかったんだと思う。悲しみに目を向ける事も、哀しみに背を向ける事も。それはまるで――
御坂「(……逃げる方向が後ろか前かぐらいの違いしかない)」
この高速道路を覆う霧みたいにモヤモヤして、湿っぽくて、寒々しい心持ち。こんなはずじゃなかった。
窓の外に広がる鈍色の風景と窓の外に並ぶの鬱蒼とした木々を見てると益々気が滅入りそうになって――
私は何となく頬杖をついた右手薬指を見る。あいつからの最初で最後の贈り物。ブルーローズの指輪だ。
左手薬指は伴侶、右手薬指は恋人がいる事を表すって言うけど、それなら捨てられた私はなんでまだ……
私を捨てたあいつとの思い出ごと捨ててしまえなかったんだろう?ううん、答えなんて最初から出てる。
食蜂「キャドバリーの飛行船発見☆あれって美味しいのよねぇ」
御坂「物見遊山に来てるんじゃないんだからもう少し緊張感持って。もうすぐロンドンに入るんだから」
ただあいつに会いたい。どんな結末でも結果でも結論でも良い。私はあいつとケリをつけたいんだと思う。
でなきゃ一歩も進めない気がする。私達が今走ってる高速道路の四車線みたいに、道なんていくつもない。
こいつみたく、チョコレート会社の飛行船写メってはしゃげるくらい気楽に生き方が出来たら良いのに……
食蜂「……そう。でもそれまでにぃ」
御坂「?」
食蜂「――無事に、ロンドン市内まで辿り着けるのかしらぁ?」
御坂「!」
そう思った矢先、ルームミラーに何台ものバイクが狼の群れみたいに追って来るのが私の目にも見え――
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