過去ログ - SERIAL CHAINS 「あやめのうた」
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62: ◆wPpbvtoDhE[saga]
2013/03/09(土) 01:10:47.69 ID:7TBDzBpt0

甚坊「“樊瑞(ファンレイ)”との話合いの結果じゃ。奴しか術は行使出来ぬのだからな」


烹楼「貴様ァ!!!」

星麗「烹楼!!黙っていろ!!」

甚坊「ッう・・・!」

コンクリートの壁が震わされるほどの気当たり。
如何に名を轟かせた道士とはいえ、この姉弟の前とならば蛇に睨まれた蛙も同然となる。

姉である蒼星麗(ツァン・シンリー)。その弟、蒼烹楼(ツァン・パンロウ)
彼の地インドで“三十三僧侶殺し”を一夜にて成し遂げた、悪夢を産んだ姉弟―――――人呼んで“沙羅双樹”。



星麗「・・・奴が術は掛けたのは判りました。その先を伺いたい」

弟が激昂するのは無理もないことだった。
だがしかし・・・今は、事の詳細を知ることが優先である。


星麗「術を行使するに必要な生贄は五千人だったはず。一体どういったことなのかお聞かせ願いたい」

甚坊「ワシは奇跡の術を目の当たりにする気持ちを・・・」

星麗「一刻も早く見たかったのでしょう。その気持ちは判るからさっさと話せ」


一応はかつての師匠である甚坊道士。
こいつが言い訳がましい浅はかで塵のような人種であるということはとうに理解していた。だからこそ話を適当に合わせる。


甚坊「そのなんだ。そういった方法が無いかと聞くと、奴は“在る”と申した」

甚坊「ただの子供に術をかけるのならば、三千の生贄で可能とのことだったのでな」


星麗「ッ・・・!!」

“精奉来輪廻壊縛の術”、通称“阿修羅の法”。
人の命を奪い、人に命を与える役である阿修羅(アスラ)。
神話にこそ語られるそれを、人造的に、魔造的に造る術がこれである。


星麗(やはり、遂行されたか・・・!)

本来ならば、私が阿修羅となる予定だった。
五千という人間を生贄にして術を振り掛けられるはずだったが、甚坊の裏切りと樊瑞の想定外の行動よって、このような失態が。

だが、我らの悲願は潰えたわけではない・・・・・阿修羅を手中に収める方法はある。



烹楼「・・・それで、阿修羅となった子供はこの施設から逃げ果せたと」

甚坊「ああ、ワシがおらんうちに・・・在中しておった者はあの有様となっておる」

衣服だけを残し忽然と消えた教団員。
建物にこびりついた血飛沫は、運良く生きながらえた者の血である。

ズタボロの衣服、壊れた天井や壁、刃零れした器械が惨状を二人へ知らしめるに十分であった。




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