過去ログ - 少年「魔方陣……服従……の術式ですか?」先輩「そうだ」
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54: ◆2nkMiLkTeA[saga]
2013/02/13(水) 16:10:27.45 ID:qRUp2lYzo
「え」

「そして、聞こえない状態でキスをすると今度は聞こえるようになる」

「ちょっと、先輩」

 なんていう命令をするのか。その、“そういうつもり”は全くないのかどうかは知らないが、変な命令はやめて欲しい。

「ふふ、これも実験だよ。さあ、耳を出して」

 本当に、どういうつもりなんだか。先輩の胸中は、少年にはまるでわからない。
 さて、一応この実験の結果だが、耳が聞こえなくなると命令された後でも、先輩が命令したものは通った、とだけお伝えしておこう。
 つまり、少年が耳にキスをされたのは一回だった。それにほっとしたようであり、少し残念に思った気持ちも少なからずあり……

◆◇◆◇◆

 さらに数日が経った。実験開始からは、十日目が過ぎた。

「……飽きてきたな」

 先輩の言葉は、あんまりといえばあんまりだった。もっとも、少年も数日前から退屈はしていた。
 実験は命令を淡々とこなしていくだけなので、地味としか言えないし、その実験もだいたいやり尽くした感もあったからだ。

「予定だとどのくらい実験するつもりなんですか?」

 この時、少年はせいぜい一ヶ月くらいと予想していた。しかし、

「……半年」

 先輩から聞かされた言葉は予想を遥かに越えていた。

「はぁ!?長すぎですよ。まだ十日ですよ」

 なら、それだけで退屈したとか、言える立場ではないだろうにと、少年は思った。

「ていうか、もういいんじゃないんですか?この術は文句なく強力ですよ。それでいいじゃないですか」

 実際、実験をする意味さえないのではないかというほど強力だ。

「だって、永続効果がどのくらいで自然消滅するかも実験しないと……」

「それで半年ですか……」

 まあ、軍が運用したいという服従術ならば、それは重要ではある。ある日、いつの間にか切れていましたでは話にならない。

「半年もこの寮で缶詰ですか、僕は」

 先が長すぎて、ため息しか出ない。こんなことなら、最初に期間聞いておけば良かった。寮の出掛けに、友達と約束したことがあったのに。


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