36:2-2[saga sage]
2013/04/23(火) 17:42:45.02 ID:/3sZDuqz0
アイツとは誰なのか。待っててくれる奴とは誰なのか。それらは既にわかりきったこと。
御坂には軽快な会話を楽しむ余裕はなく、沈黙したまま肯定の意を表す。
アイツ――上条当麻は、
魔術だか十字教だか御坂には分らないが、またも世界の命運を左右する大騒動に巻き込まれたらしい。
「らしい」と曖昧なのは、風紀委員として学園都市内の治安維持に携わっている白井黒子や初春飾利から、つい先日、また聞きしたからである。
こちらが真面目に授業を受けていた正に同時刻、
学園都市が爆発するだか学生たちが皆昏睡するだとかの騒ぎがあったと伝聞された時は流石の御坂も顔を引き攣らせた。
数日単位、下手すれば一日起き単位で何かしらの揉め事に首を突っ込んでいくのだから、彼の生活は波乱万丈を通り越している。
遭遇する事件はピンからキリとしても、お約束のように「学園都市への帰還イコールとある病院への強制入院」という図式成立は
そろそろ真剣に考えて対策を取るべきではなかろうか呆れもした。
どう生きれば日単位で命の掛け合いが参加の最低条件になる戦場に馳せ参じることになるのか、と常に思案したものだが――、
答えは思いのほか簡単だった。
上条当麻が上条当麻として生きていれば、上記のことなど、「当然」や「当たり前」の範疇に入ってしまうのだ。
彼の根っからのヒーロー気質について、一方通行から待っててくれる奴と評された彼女は、どのように思っているのだろうか。
『とうまはとうまだからね。仕方ないかも』
なんて、聞きなれた声が、鼓膜の裏で聞こえた気がした。
「ホント、男の人って女心を分かってないわよね。あの子はね、『男の人を待つ女の子』じゃないのよ」
恋愛の駆け引き術どころか、対人コミュニケーション能力そのものが欠落気味のヤツだし、秋空以上に複雑な女性の内面を察しろというほうが酷かもしれないが。
「……ハァ?」
「あの子ははね、『信じれる女の子』なの」
上条当麻を巡る大レースは本命の優勝がほぼ確定的。本人の口から最終レースの結果が伝えられるのも近未来。
明日か明後日か、それとも1週間後か。なるべく早く教えてほしいと願う反面、なるべく教えてほしくないと現実逃避するのが反面。
彼が選んだのは白のティーカップのような法衣がよく似合う女の子で、いつもけんか腰でも有事には彼の背中を力強く押した中学生ではなかった。
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