7: ◆epXa6dsSto
2013/02/09(土) 19:23:54.40 ID:juBpRnU+0
「すっごくドキドキしてるだろ?」
心臓を物凄い速度で動かしながらも、澪は笑っていた。
私だったら、息をするのも辛いくらいの鼓動のはずなのに、
それでも――。
「私だって同じだよ、律。
梓に贈る曲の事を考えるとさ、
今までやって来たどのライブよりも緊張しちゃってるんだ。
やっぱり梓には何の心配も無く進級してほしいもんな。
そのためにもいい曲を贈って、笑顔で卒業式を終わりたいもんな。
だからさ、不安ならもっと練習しようよ、律。
勿論、練習には私も付き合うから。
一緒に出来る限り精一杯の練習をしよう?
梓のためにも――、やり残しなく私達が卒業出来るためにも――」
澪はとても優しい笑顔を見せる。
私と同じくらい――、いや、私以上に緊張してるくせして――。
でも、そうだよな……。
澪は恥ずかしがり屋で怖がりで赤面症で、
だからこそ、誰よりも緊張や不安をずっと目前にしてたんだよな。
不安以上の――、勇気を持てるんだよな――。
だったら――、
私はここで緊張してるわけにもいかないよな――!
「また胸がでかくなりやがったなー、澪」
「……えっ?
えっ? いや、そんなつもりじゃ……!
ただ私は自分の心臓の鼓動を律に知ってほしくて……!」
私が軽口を叩いて意地悪く笑ってやると、澪が顔を真っ赤にさせた。
ははっ、こんな時でも、恥ずかしがり方は変わらないな。
何だかそれが嬉しい。
私達はもうすぐ卒業する。
これから色んな事が変わっていくのかもしれない。
でも――、
とりあえず今は、私達は変わらず私達のままだ――。
26Res/24.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。