過去ログ - 老兵や古兵って響きからしてカッコいいよな! というわけでSS書く
1- 20
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/10(日) 12:11:30.06 ID:Xs4uGvw2o

 祖父は小柄だ。割としゃんとしているけれど、それでも小さい。元服前の自分より背が低い。
 その小男が戦場を走りまわっている図を思い浮かべるのは苦労する。
 ましてや鬼のような立ちまわりを演じているところなど。

 戦乱の世が終わってからは町道場の師範におさまり、剣を教えて食いつないできたそうだ。
 ただ、父が生まれて師範代を務めるようになってからは、道場にはたまに顔を出す程度である。
 父は、祖父が負けるところを見たことがないと言う。
 弥助は、そもそも祖父が剣を振るうところを見たことがない。

「汁物がちと濃いのう」
「すみません」
 母が頭を下げる。心から申し訳ないといった様子で、不服の色は全くない。
 父もまたそのやりとりを自然と受け止めている。

 父母は祖父を心から敬っている。
 言ってはなんだが、このちっぽけな老人をだ。
 弥助はたまに、彼らが変なのか自分が変なのか分からなくなる。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
47Res/22.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice