過去ログ - ビッチ・2
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112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/13(水) 00:29:36.38 ID:X0l/dJT5o

「それって何? まだ何かあるの」

「あたしはね。お兄ちゃんより早く奈緒人さんがとあたしが兄妹だって気がついていた
の」

「どういうこと」

 僕は唖然とした。

「最初はわからなかった。でも一目ぼれしちゃって次の日も奈緒人さんを高架下で待ち伏
せして」

「そうだったね。あのときは驚いたよ」

「そこでお互いに自己紹介したじゃない?」

「うん・・・・・・あ」

 僕はそのことに気がついた。



『そう言えばお名前を聞いていなかったですね』

 あのとき奈緒はそう言ってから自己紹介したのだ。

『あたしは、鈴木ナオと言います。富士峰女学院の中学二年生です』

 僕のそのとき鈴木奈緒という名前に何も反応しなかった。記憶もなかったから反応する
はずもない。でも奈緒は僕の名前も通っている学校も知っていただろう。

『僕は結城ナオト。明徳高校の一年だよ』



「うん。結城ナオトって聞いたとき、奈緒人さんがお兄ちゃんだってすぐに気がついた
よ」

 奈緒が言った。

「・・・・・・何でそのときにそう言わなかったの」

「お兄ちゃんには過去の記憶がないってパパから聞いていたから。あたしが勝手に話しち
ゃっていいかわからなかったし。それにあのときはすぐに明日香ちゃんが・・・・・・お兄ちゃ
ん?」

 目の前が真っ暗になっていく。体から力が抜けこのまま座っていることすらできそうも
ない。フラバとは少し違う感覚。むしろ絶望感が暗雲のように突然心を外部から切り離し
たような感覚だ。

 奈緒は再会した次の日の出会いのときから、僕が兄貴であるあることに気がついていた。

 それでいてその後も平然とそれを隠して、僕に告白したり僕に寄り添ったり僕に嫉妬し
たり僕とキスしたり・・・・・・。

 最初から奈緒は僕と本気で付き合う気などなかったに違いない。なぜなら僕が実の兄貴
であることを彼女は知っていたから。僕がそれを知ったのは正月のことだったけど、奈緒
は僕と付き合う出す前からそのことを知っていたのだ。

 やはり明日香が言っていたことは正しかったのだろうか。最初の出会いこそ偶然にして
も、奈緒は僕が兄だと気がついていたにも関わらず僕に告白したのだ。


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