過去ログ - ビッチ・2
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122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/17(日) 00:29:44.37 ID:bWGm8aPso

 僕はついさっきまでもう揺るがないでいられると思っていた。もう僕には明日香しかい
ない。いや、そういう言い方では明日香には失礼だったろう。もうとか言うべきじゃない。
もともと僕には明日香しかいなかったのだ。明日香の僕への献身的な態度のせいだけじゃ
ない。きっと僕は明日香が僕につらく当たっていたあの頃から、彼女のことが気になって
いたのだ。その想いは決して嘘じゃない。僕だっていい加減な気持ちで明日香に対して結
婚しようと言ったり、彼女を抱いたりしたわけじゃない。

 それでも奈緒が近親相姦になることを乗り越えてまで、実の兄である僕に対して愛情を
示してきたことに対しては、真剣に向き合わないわけにはいかなくなった気はしていた。

 自分の本当の気持はどうなのだろう。

 そんなことはもう乗り越えたつもりだったのに。明日香に選択を迫られた僕は明日香を
選んだのだから、今さら悩む必要なんてない。それなのに何で今さら後出しじゃんけんの
ような情報が入ってくるのだ。そういうことは選択する前に知りたかった。

 いや、そうじゃない。事前に知らされていたとしても、奈緒の気持が本当だと思ってし
まっていたら、それはそれで悩んでいただろう。ついさっきまでは僕は喜んでいた。奈緒
が僕と同じ気持を共有してくれていたことに。実の兄妹と知った僕と同様に、奈緒も悩ん
でくれたのだ。悩んだ時期はずれていたとしても。

 でもお互いには悩んだ末に出した結論は全く異なる。僕は自分の始めての彼女が実の妹
だと知って、奈緒と距離を置こうとした。奈緒は違う。奈緒は自分の気持を優先すること
にしたのだ。そのためなら近親相姦になることすら気持の上で乗り越えて。

 時系列で考えれば明らかだ。最初の告白の後、僕たちは名乗りあった。そして奈緒はそ
のときに僕が自分の兄であることを知ったのだ。それでも彼女は僕との付き合いを続けた。

 奈緒とのささいな諍い。奈緒とのキス。僕が抱き寄せた奈緒の細い肩。僕の胸に押し付
けた奈緒の涙顔。

 その全ては奈緒が僕を兄だと認識していた後の出来事なのだ。僕は明日香が好きになっ
てはいたけど、これまで明日香の言うことを本気で信じたことはなかった。奈緒が僕のこ
とを兄だと知りながらも、悪意を持って僕を誘ったということを。でも、その方がまだし
も迷わないで済んだのかもしれない。それなら少なくとも奈緒は、僕のことを近親相姦的
な愛情で誘惑したのではないのだから。

 明日香との愛情溢れる(と僕は考えていた)関係を、再考すべき自体が訪れたのかしれ
ない。

 僕は実の妹の禁断の愛情に応えるかどうかを考えなければいけなくなっていたのだ。

 僕はもうどう考えていいのかわからなかった。それでも不思議と明日香に会いたいとい
う欲求が胸の中で起こってきた。明日香なら、あいつなら僕をなだめてくれる。慰めてく
れ、自分では気がついていない気持を整理してくれる。今の僕にはそれが救いだった。

 僕はいつのまにかこんなにも明日香に依存するようになってしまっていたのだ。

 悩みつつ夢うつつのような状態で歩いていた僕は、いつの間にか叔母さんのマンション
の前まで来ていることに気がついた。


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