過去ログ - ビッチ・2
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147:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/25(月) 00:04:32.11 ID:4Y9bOK7Ho

「それでガイシャの名前と素性は?」

 助手席に座った平井さんが後ろを向いて僕に聞いた。

「平井さんも知ってますよ。池山博之です」

 平井さんが顔をしかめた。

「また、あいつか。それで、池山が刺されるところを、兄ちゃんは最初から見ていたの
か」

「いえ。救急車に運ばれるところを見かけたんですけど」

「それが池山だったってわけか。本当に偶然なのか」

 僕は少し迷ったけど、ある程度は話したほうがいいいと思った。明日香のためにも池山
を刺した犯人を捕まえるために協力すべきだ。明日香は池山には罪悪感を感じているよう
だったし。

「実は、池山が刺される直前まで駅前のファミレスで三人で話をしていました」

「三人って、兄ちゃんと明日香ちゃんと池山ってことか」

「はい。それで池山が先に帰ったので僕たちも帰ろうとして駅前にでたときに、あいつが
たんかで運ばれているのを見ました」

「ふーん。それで兄ちゃんたちはいったい何で池山なんかと三人で会ってたんだ? 俺は
あんとき全部手の内を見せたよな。池山だって明日香ちゃんを善意で救ったわけじゃない
だろうって。おまえらだけで池山に会うなんて何でそんな危ない真似をした?」

 奈緒のことは言えない。それを言えば明日香が犯罪教唆の罪に問われるかもしれないの
だ。でも全くの嘘でこの人を誤魔化せるとも思ってはいなかった。

「正直に言うと、明日香と僕は付き合っているんでこれ以上明日香に付きまとわないよう
に池山に言うためです」

 さすがの平井さんも驚いたようだ。

「付き合うって・・・・・・おまえら実の兄妹じゃねえの?」

 僕は明日香の手を握った。珍しく少し湿った感触がする。ここまで一切喋っていない明
日香も彼女なりに緊張しているのだろう。

「血は繋がってないんです」

「うーむ。そういうことか。それにしたって何でそれを池山なんかに言わなきゃなんねえ
の? あいつ、よほどしつこく妹さんに言い寄ってたのか」

「これまで黙っていてすいません。池山は明日香の元の彼氏なんです」

 平井さんは顔色を変えた。

「おい。聞いてねえぞ、そんなこと。加山が明日香ちゃんの事情聴取をしたはずだが、加
山には嘘をついていたってことか」

「確かに池山が明日香の元彼だということは黙ってましたけど。加山さんの事情聴取っ
て・・・・・・? 明日香、おまえ加山さんに会ったのか」

「加山さんって、あのときうちに来た女の警官の人?」

「いや、違う」

「ちょっと待て」
 平井さんが慌てたように口を挟んだ。「女の警官って何のことだ」

「うちに来た女性の警官ですよ。二人で明日香に話を聞きに来ました。こういう事件の場
合は女性の警官が事情聴取をするんだって言ってましたけど」

「明日香ちゃんの事情聴取に行かせたのは加山だ。報告書もちゃんとある。女性警官なん
て俺は知らないぞ」

 今度こそ本気で平井さんは驚いたようだった。


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