182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/06(土) 23:47:28.07 ID:kx64WKy1o
中井さんが高速道路に乗ったということは、自宅ではなくて都下の別荘に向っていると
いうことだった。パパはあたしのことを愛したいという欲求に駆られたときは、住宅街の
中にある自宅ではなく海辺の別荘にあたしを連れて行く。別荘の家屋の周囲には広大な敷
地があって、その建物の奥深い場所にある寝室で行われる行為は、たとえどんなにあたし
が声(それが悲鳴でも)を出したとしても、誰に気がつかれることもない。逆に言うと住
宅街の真ん中にある自宅にいるときのパパのあたしへの行為は抑制的で、性交渉というよ
りはただあたしを抱き寄せてあたしを撫でているだけということが多かった。
パパは今日は激しくあたしを求める気分だったのだろう。前もって中井さんに別荘に行
くように指示していたことがそれを証明している。パパは自分のポーカーフェイスの奥に
ある欲望をあたしには知られていないと思っていたのだろうけど、こういうところであた
しはパパの欲求に気がつくことが多かった。
だけど車内のパパはあたしを抱くことなんかどうでもいいようだった。
「奈緒人君って、結城さんの息子のことか」
どいうわけかパパが顔を青くして聞いた。感情を抑制し制御できるパパがここまで慌て
ている姿をあたしは初めて見た。
「そうだよ。パパ、彼のこと知っているの」
「ああ。麻季さんと結城さんが離婚するとき、パパは麻季さんの代理人だったからね。あ
れがパパの民事の弁護士らしい最後の仕事だったな」
「そうなんだ」
「うん。今でも思い出すけどあの頃の麻季さんの依頼は変わった依頼でね。自分の実の息
子の親権は争わないけど、義理の娘の、そして再婚相手の鈴木の娘である奈緒の親権だけ
は何が何でも確保してくれって言う話だったな」
「麻季さんの実の息子って結城奈緒人さんなんでしょ?」
「そうだよ」
「要するに奈緒と奈緒人さんは血が繋がっていないんだね」
「うん。でも、奈緒人君は麻季さんの実の息子だったし、彼女は奈緒人君を大切にしてい
たようだから一応は彼女に聞いたんだよ。本当に奈緒人君の親権も監護権も争わなくてい
いのかって。頑張れば奈緒と奈緒人君の両方の親権だって取れそうだったしね」
「よくわかんないな。変態のパパが麻季さんの代理人をするときに奈緒にこだわるのは理
解できるけど、何で麻季さん本人は自分の息子じゃなくて、怜奈叔母さんの娘の親権にこ
だわったんだろう?」
「さあ? あのときはパパもあまり気にしなかったんだ。とにかく奈緒の親権が確保でき
ればいいと思っていたし」
「あのさあ。当時は奈緒だって幼稚園にかよってたくらいの年齢でしょ。まさか、パパは
その頃から奈緒のことを」
「うん。好きだった。怜菜の幼い頃とそっくりだったしね」
「・・・・・・まさか幼稚園に通っている女の子のことが。パパの変態」
「おい、勘違いするんじゃない。どんなに可愛くたって、いくらなんでも幼稚園児の奈緒
をどうにかしたいなんて考えていたわけじゃないぞ」
「どうだか。それにパパは小学生のあたしを犯したじゃない」
「犯したとかっていう言葉は使わないでほしいな。愛しただけだ」
「どっちでもいいけどさ。奈緒とあたしは幼馴染だし、奈緒は小学生の頃からよくうちに
遊びに来てたじゃん? パパはその頃から奈緒に目を付けていたの?」
「目を付けるとかじゃない。でも気にはしていたね」
「あの頃から奈緒のことが好きなのに、どうしてパパは奈緒には何もしないであたしのこ
とを恋人にしようと思ったのよ」
「有希が可愛かったから、パパは我慢ができなくなったんだよ」
これではあたしの追及もパパの言い訳もループしてしまっている。この話には出口が見
つからない。
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