過去ログ - ビッチ・2
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263:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 22:24:44.38 ID:Is8mwlDMo

 僕は、店を出て行った兄友と有希の跡をつけずに呆然と座ったままだった。女さんも一
緒に店から出て行った有希と兄友のことを気にする余裕はないみたいだった。今聞かされ
た明日香と兄友のこと以外のことは考えられないのだろう。

「あいつと有希って子、店を出て行ったけど」

 女さんが呆然としている僕に話しかけた。さっきふざけるなと呟いた女さんは激情を抑
えているようだったけど、今の女さんはさっきの反動からか落ち着いた静かな声だった。

「そう」

 むしろ混乱していたのは僕の方だったかもしれない。

 明日香は池山には身体を許していなかったのだ。そして初めて結ばれた夜、明日香は処
女だったと僕は勝手に思っていた。明日香もそういうことを言っていたし僕は幸せだった。

 その明日香が兄友に抱かれていた? いったい何の話だ。

「奈緒人君・・・・・・」

「うん」

「やっぱり早く家に帰って明日香ちゃんに会いたい?」

「わかんない」

「・・・・・・そうだよね」

「ごめん」

「何で謝るのよ」

「いや」

「君があたしに謝ることなんか何にもないじゃん」

「・・・・・・うん」

「早く家に帰りたい?」

「だから、よくわかんないよ」

「偶然だね。あたしもだよ」

 女さんが微笑んだ。いつもと違って寂しげな笑いだった。

「もうちょっと付き合ってよ」

 スタバを出てしまえばもう行ける所なんてあまりない。僕は薄暗い公園のベンチで女さ
んと並んで呆然と座っていた。目の前の景色に焦点が合わず目の前が滲んで薄れて行く。

「あたしさ、前に明日香ちゃんのことでひどいこと言ったことあったでしょ。覚えて
る?」

 しばらく沈黙したあと、女さんが口を開いた。

「うん」

 あのときは明日香が僕の妹であることをまだ女さんが知らなかったのだ。

「今だから言うけど、あたし明日香ちゃんのこと大嫌いだった。別に池山君のことはそん
なに好きだというわけでもなかったけど、それにしても明日香ちゃんの彼への態度ってひ
どかったもん。すごく彼を下に見てばかにした態度で」

「・・・・・・そんなことは」


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