427:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/18(水) 00:23:25.39 ID:owlu8LCeo
「だからって」
かろうじて僕は返事をした。明日香は自分の兄友との過去の関係がばれたことを知らな
い。ここで動揺するわけにはいかない。
「それに。多分、奈緒ちゃんだって」
「奈緒がどうしたの」
「ああいう感じの子だから、きっとすごく家庭的なんじゃないかなって思う。お味噌汁な
んかもあたしみたいにインスタントじゃないだろうし」
「そんなことないよ」
僕は明日香の頭を撫でた。まるで十年前によくしていた時のように。
「ちょっと。髪が乱れるじゃん」
「これは前に奈緒から聞いたんだけどね。奈緒のお母さんは絶対に奈緒をキッチンに立た
せたり料理を教えたりしなかったんだって」
「へ? 何で。ああいう子だから家庭的なのかもって思ってたのに」
「あのレベルでピアノをしている子はみんなそうみたいだよ。指を傷つけるリスクがある
ようなことは一切しないんだって」
「ああ、そうか。そういやママも玲子叔母さんもそうだったって、前に聞いたことがあ
る」
「二人とも音大のピアノ科出身だからね。奈緒もそれと一緒だよ」
「そうかあ。じゃあ、あたしもあまり気にしなくていいのかな」
「うん」
「でもさ、あたしはピアノをやってるわけじゃないし。そういう言い訳できないじゃん」
そこに気がついた明日香が反論した。
家事なんかできる範囲でしていれば自然と上達するだろう。僕はそう思ってそれを明日
香に伝えようとしたとき。
「だから。いい加減に頭を撫でるのよしてよ」
・・・・・・僕は明日香の頭を撫でた。まるで十年前によくしていた時のように。
そのときその記憶が一気に僕の中で再生された。
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