51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/27(水) 00:27:48.74 ID:rVw+N0iYo
「明日香」
俯き加減に校門を通り過ぎようとした彼女にあたしは声をかけた。
「あ」
あたしの姿に驚いたように明日香は声を出した。ただでさえいつもは陽気で小生意気な
様子の彼女は、いつもと違って何か悩みでも抱えているみたいな暗い表情をしていた。
まるでこれから知ることを予感しているみたいに。
「有希・・・・・・」
「突然来ちゃってごめん。あたし、あなたに謝りたくて」
明日香が少しだけ驚いたような表情を見せた。
「謝るって。謝らなきゃいけないのはあたしの方だよ」
「ううん。あのときはつらかったんで思わず明日香のことを責めるようなこと言っちゃっ
たけど、あの後、明日香が怪我をして入院したって奈緒ちゃんから聞いて。明日香が大変
なことになっていたのに、あんたにひどいこと言っちゃったし、奈緒人さんにも明日香の
こと悪く話しちゃった。本当にごめん」
あたしの言葉は明日香の心を動かしたようだった。
「もういいよ。それに有希の言うとおりだもん。あたし、有希にひどいことしちゃったし。
でもこれだけは信じて。あたしはあのときは本当に有希と兄貴のことを応援していたの。
有希が兄貴の彼女ならいいなって本気で思って。でも・・・・・・」
「うん。奈緒人さんから聞いた。最初は腹が立ったけど、でも仕方ないよ。その後で明日
香が奈緒人さんのことを好きになってしまったんなら。最初から明日香が奈緒人さんのこ
とが好きで、それで奈緒ちゃんと別れさせるためにあたしを利用したんだとしたら・・・・・・。
それならあたしも明日香のこと一生許せないかもしれないけど、そうじゃないんだもん
ね」
「う、うん」
明日香が口ごもった。
「だったらもういいよ。仲直りしようよ。あたし、明日香と喧嘩しているの、もう嫌だ
よ」
「有希・・・・・・。あたしだって」
あたしは明日香に笑いかけた。
「あたしと仲直りしてくれる?」
「うん」
明日香はようやく本心から笑顔を見せてくれた。
「ちょっとお茶して行かない?」
あたしは明日香を誘った。
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