20: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:40:02.78 ID:Go2OiDoj0
『まず、先々月の16日にAさんが病院を退院し、直後行方不明。同日にBさんも……』
――意識を取り戻してからそうかからずに、私は人と話せるほどに回復した。それから病院の人をはじめとした周りの人たちが、私の今の状態について何度も説明をしてくれた。
21: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:42:19.22 ID:Go2OiDoj0
『奇跡的に意識を取り戻し、後遺症もなく……』
病院に運ばれた直後の私の状態は酷いもので、外部は打撲痕や切り傷に加えて火傷だらけ、内部は内臓破裂に全身骨折と満身創痍だったらしい。
22: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:43:45.95 ID:Go2OiDoj0
『また、件のテロ事件との関連については――』
「はぁ……」
私はため息をつくとテレビの電源を切った。警察が事情聴取に来た時の緊張した空気を思い出してイヤになったからだ。
23: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:46:34.76 ID:Go2OiDoj0
一ヶ月と言う短期間の内に、見滝原市含むG県全域で五人の女子学生が遺体で、一人が瀕死の重体で発見された。
それに加えて現在までに二十人ほどの女子学生が失踪。彼女らはいまだに行方不明のままで、足取りもつかめていない。
そして瀕死の重傷で発見された一人、というのは私のことだったりする。
24: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:50:51.08 ID:Go2OiDoj0
「はーい、どうぞ」
誰だろうか。返事をすると、『おじゃまします』という挨拶とともにドアが開いた。
25: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:51:53.44 ID:Go2OiDoj0
「相変わらず硬いなぁ。それで、具合はどうなの?」
「体調はいいですよ。あんな大怪我だったのに……。ちょっと自分でも信じられないくらいです」
26: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:54:03.51 ID:Go2OiDoj0
「あ、ありがとうございます……えと、それじゃあ頂きます」
「うん、剥いてあげるからちょっと待っててね」
27: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:55:45.68 ID:Go2OiDoj0
「……何というか、逆にすごいというか」
「ほむらちゃんもすぐに慣れると思うよ?」
28: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:58:39.33 ID:Go2OiDoj0
「えっと……」
食べさせてくれるのはありがたいけど、ちょっと恥ずかしい。それに体は右手の調子が少し良くないくらいで、ほとんど回復している。だから自分で食べられないということはないのだけど……
29: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 22:59:46.27 ID:Go2OiDoj0
「おいしい?」
「はい、おいしいです。すいません、わざわざ……」
30: ◆/WV6dTMwLXv/[saga]
2013/02/23(土) 23:02:38.02 ID:Go2OiDoj0
――鹿目さんは面会が許可されて以来、ほとんど毎日のようにここへ見舞いに来てくれている。
彼女がそこまで気遣ってくれているのは、私を最初に発見したからだとか、同じクラスに転入予定だからという理由だけではないのだろう。
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