過去ログ - 京太郎「もつものと、もたざるもの」
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815: ◆CwzTH05pAY[saga]
2013/03/08(金) 23:52:07.99 ID:gbLMlhduo
「しかし、先ほど君は15年といったが、そうなると私と君が出会って15年ということになるのか」

「そう……なりますね」

あれからさらに酒が進んでいた。
京太郎はもう真っ赤であり、ゆみも顔には出ていないがそれなりに酔いがまわっているようだ。

「お互い、年を取ったな」

「いやいや、加治木さんは相変わらずお綺麗で」

酒の勢いか、京太郎は普段ではとても言えないような軽口を叩く。

「おだてても、支払は割り勘だぞ?」

お猪口を片手にゆみは苦笑する。

「いやいや、ほんとですって! 流石、美人すぎるプロ雀士なんて評判になっただけありますね」

「……読んだのか、あの雑誌」

ゆみはタイトルを取った時、いくつかの麻雀専門紙の取材を受けた。
それもプロの仕事だと割り切って受けたのだが発売された雑誌の煽り分に「美人すぎるプロ雀士。初タイトルを奪取!」などと煽り文が描かれていた。
もともとあまり目立つつもりはなかったため、雑誌に載るなどといったことは誰にも言わなかったが、やはり見ている人間は見ているな、とゆみは頭を抱えた。。

「加治木さんがタイトル取ってからそれ系の雑誌全部チェックしましたから!」

どこか誇らしげに京太郎は胸を張った。

「今すぐ捨てるんだ」

「いやです」

「捨てなさい」

「いやです。保存用布教用観賞用で3冊も買ったんですから」

「なぜそんな無駄なことを……大体布教とは何だ布教とは」

「ファンクラブですから」

「それはもういい……」

酒の飲みすぎとはまた違う頭痛をゆみは感じていた。

「全く……周りから散々からかわれたんだ。勘弁してほしい」

「いやーでも、しょうがないでよ。俺が雑誌の編集長だったらあの煽り文を訂正するどころかよく書いたって褒めてやりますよ!」

「君まで私をかつぐんじゃない。全く」

そういってゆみは京太郎の額を軽くパシッとはじいた。
叱られている側の京太郎はなぜか嬉しそうに笑った。



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