過去ログ - 京太郎「もつものと、もたざるもの」
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816: ◆CwzTH05pAY[saga]
2013/03/08(金) 23:53:14.68 ID:gbLMlhduo
「うー……あー……」
ゆみの目の前で京太郎がテーブルに突っ伏して呻いている。典型的な飲みすぎであった。
「全く、調子に乗って飲みすぎだ」
「ずみまぜーん……ずごじやずめば大丈夫だどおもいまず……」
「今水をお願いしたから、少し休んでいるといい」
「あー……」
もはや返事を返す気力もないようで京太郎はそれきり黙りこくった。
ゆみは、そんな京太郎の姿を見ながらふと思った。
(私と彼は、いったいどういう関係なんだろうな?)
あの新人戦で交流が途絶えると思った二人だが、細く長く交流は続いた。
時たま一緒に麻雀を打ったり、受験の際は勉強を見たり相談に乗ったこともあった。
お互い働き始めてもメールや電話はしているし、こうやって時々飲みに行くこともあった。
(先輩後輩……というわけではないな。結局高校も大学も違ったわけだ)
(友人……まぁ、妥当な線だがどうもしっくりこない)
(同志……うん、しっくりくる。同じ物を志す、同志。うん、そうだ)
例え歩いている道が違っても、二人が目指しているものは一緒だった。
それはアレから一度たりとも変わることはなった。
京太郎もゆみもただひたすらに進み続けた。
(とはいえ)
すっと、机に突っ伏す京太郎に頭に手を伸ばしてみる。
(お互い、目標に対してそこそこの結果は得ることができた)
軽く撫でると京太郎は特に何も反応せず黙っていた。
(もちろんまだまだ、納得できるレベルではないが)
髪をやさしくかきあげ、ゆみは京太郎の顔を覗き込んでみる。
京太郎はぼーっとした目でゆみを見た。
「なんでずがー……」
(ちょうどいい、変わるきっかけなのだろうか)
(須賀君は、私のことをどう思っているのだろうか)
(私は、須賀君をどう思っているのだろうか)
「かじきさーん?」
再度呼び掛けられ、ゆみは我に返った。
「いや、なんでもない」
そういいつつも京太郎を軽く撫でる手は止まらなかった。
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