過去ログ - 京太郎「もつものと、もたざるもの」
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953: ◆CwzTH05pAY[saga]
2013/04/11(木) 00:35:42.37 ID:4Hfa2lmyo
そして、そのタイミングでドアベルがチリンとなった。
「いらっしゃいませ!」
チーフが元気よく声を出す。
京太郎もそれに続きいらっしゃいませ、と声を出した。
入口に背を向けて座っているため、京太郎から客の姿は見えなかった。
先輩メンバーが客に応対する声だけが聞こえてくる。
「フリーですか?」
「いや、私は今日伺わせて頂くことになっておりました……」
「あ、もしかしてオーナー、ですか」
「はい」
噂通りの若い女性の声だった。
だが、京太郎はその声を聴いてドキリと胸が高鳴った。
聞き覚えのある声だった。
そして標準語を話しているがイントネーションが微妙に関西圏のものであった。
思わず手が止まってしまう。同卓している他家から急かされて慌ててツモを手に取った。
そうしているとトイレから客が戻ってくる。
「状況は変わらずリーチ続行中です。ツモ番です」
京太郎はそう言って再び客と席を替わった。
そして、恐る恐る入口のほうへ向きなおった。
「わざわざ長野から? お疲れ様です。俺がチーフの……」
「あぁ、伺っております。少しこれからの話をさせて……」
チーフがやってきた新オーナーを伴ってバックヤードに向けて歩き出そうとしているところであった。
チーフは噂通りの若い美人のオーナーがやってきたことに相好を崩している。
だが京太郎はそれとは対照的にその新オーナーの顔を見て驚きの表情を隠せなかった。
すると、ぽかんと立ち尽くす京太郎とその新オーナーの目があった。
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