859:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/08(金) 18:54:15.60 ID:eXxZahjZ0
小学生の頃から、圭祐は自分にコンプレックスを感じていた。
細く小さな目つきの悪い目、中々治らなかった上に跡が残った頬のできもの、ぽっちゃりした体格――他にも色々とあるが、親譲りのものが多いので仕方がないとはいえ、嫌だった。
更に頭は悪く、運動能力は人並み。
おまけに声は元々低く、そこまで愛想も良くなかった。
お陰で、女子から話し掛けられたことはほとんどなかった。
中学生になり、勝たちと出会った。
お使いに行かされたり、面倒ごとを引き受けたりと、パシリ的存在だったが、不良は不良。
一層声を掛けてくれる者はいなくなった。
しかし、勝・新島恒彰(男子15番)・脇連太郎(男子20番)との付き合いは楽しかったので、そんな事を気にするのは止めた。
気にしていても仕方がない、今を楽しもう、と。
「あ、ケースケ、隣だね、嬉しいな!」
停戦協定を結んだ中2の3学期の最初の席替えの時、初めてまともに凪紗と会話を交わした。
嬉しかった。
自分が横にいることが『嬉しい』と言ってくれた。
色々な話をしてくれた。
「え? 女子が話し掛けてくれない?
皆見る目ないなぁ… ケースケ、絶対いい男なのにね!
人間外見じゃないよ、中身!!」
慰められたのかけなされたのかよくわからなかったが、たとえお世辞でも『いい男だ』と言ってくれたのは嬉しかった。
自分の中身を見てくれる女の子が、目の前にいる。
恋に落ちるのに、時間は掛からなかった。
だからこそ、こんなプログラムという最悪の状況になってしまったからこそ、自分の思いを伝えるつもりだった。
途中で偶然出会った勝に、ついて来てもらった。
そして――凪紗を見つけた。
体が、動かなかった。
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